リクエスト
□喧嘩するほど
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「最低でさァ!!」
今まで賑やかだった教室が、しーんと静まりかえった。
友達と喋っていた生徒、机に向かって読書やら勉強していた生徒、教室にいた生徒全員が怒鳴り声があった方に目をやる。
もちろん、私も例外ではない。
「約束破るなんて信じらんねぇ!!」
「しょうがねぇだろ」
元凶は教室の窓際にいる男子生徒。
拳を震わせ顔を真っ赤にしながら怒鳴る総悟と顔は平然としながらも声に怒りが表れている土方さん。
この二人が喧嘩をするのは日常茶飯事。
しかし、今までにこんなにも総悟が感情を露にしたことはあっただろうか。
総悟の扱いに慣れている土方さんが、余裕がなさそうに目を背けたことがあっただろうか。
ばあん!と教室の戸を叩きつけるようにして教室を出ていく総悟。
しーん、と静まり帰った教室。目線は全て土方さんに向けられた。
土方さんはただどうすることもなく総悟の出ていった戸の方を見つめている。
「トシ、トシ!」
今までお妙さんの元にいた近藤さんが慌てて土方さんの所へと駆け寄る。
「おいトシ。何があったんだ?総悟と喧嘩したのか?」
ボーッとしてる土方さんの肩を両手で掴んで揺らしながら近藤さんはそう質問する。
しかし、土方さんはそれに答えず眉をしかめて近藤さんの手を振り払う。
「悪ィ、近藤さん。ちょっと一人にさせてくれ」
そう言いながら土方さんも教室を出ていった