リクエスト
□第七訓
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「あっ、待って!!」
総は路地裏に逃げた猫を追いかける。
「おい!!」
銀時も総を追いかけようと路地裏に向かう。
路地裏に入ると既に総の姿はなく、
道が二手に分かれていた。
「どっちに行ったんだ?」
銀時は2つの道を交互に見つめ勘で右側の道に進んだ。
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「どこに行ったんだろう…」
きょろきょろと周りを見渡しながら猫を探す総。
「にゃ〜」
と、奥の方で鳴き声が聞こえてくる。
総は鳴き声のした方に向かって歩き出す。
ドン!!
と、総の肩に何かがぶつかった。
人影があったので誰かとぶつかったのだろう。
総はよろけ、倒れそうになるがぐいっと腕を引っ張られて倒れることはなかった。
「大丈夫?」
総の腕を掴んだ人物は総に声をかける。
路地裏には街灯もないので暗くて顔がよく見えない。
「…大丈夫です。ありがとうございます」
月を隠していた雲が動き、月は再び顔を出す。
見えなかった人物の顔が月明かりに照らされる。
その人物は総と対して歳の変わらない少年だった。
ピンク色の髪を三編みし、ニコニコとした笑顔が特徴の少年。
「ごめんね、肩ぶつけちゃって。痛くなかった?」
「いえ…私こそすみません」
ペコリと総は頭を下げた。
「それより、何か探してるみたいだったけどどうしたの?
女の子がこんな夜遅くに1人でいたら危ないよ」
少年が笑顔を見せながら尋ねる。
「猫を探してて…」
総がおずおずと言うと、
少年は猫?と首を傾げる。
「可愛い猫がいたんですよ!どこに行ったか知りません?」
「んー、猫ねぇ…。確か屋根に登ってた気がするよ」
「や、屋根っ!?」
総はがくりと肩を落とす。
「うー…諦めるしかないのかぁ…」
残念そうにする総に少年はにこりと話しかける。
「君、名前は?俺は神威」
「名前?…沖田総」
「ふぅん…総か…」
神威と名乗る少年は総を上から下までまじまじと見つめる。
総ら居心地悪そうに身を竦めた。
「君、可愛いね!俺の嫁になりなよ!!」
「は!?」
くるりと一回転しながら神威は言う。
もちろん総は驚く。
「何言ってんですかアンタ。私たち初対面でしょ…?」
顔をひきつらせながら言う総。
「俺は気にしないけどな」
「気にしないって…」
「俺はね、強い男と可愛い女の子が大好きなんだ」
笑顔を絶やさず言う神威はどこか楽しげだった。
「男が大好きって…ホモ!?」
「ははっ、まさか。強い男はとはね、殺し合いがしたいだけさ。
楽しいからね、強い男との殺し合いは」
とんでもないことを笑顔で言う。
本能が危険を感じ、総は一歩後ずさる。
「そんなに怖がらなくてもいいよ。
言ったでしょ?俺は可愛い女の子も好きなんだ!
あ、別に殺したいとかそんなんじゃないよ?
可愛い女の子はお嫁さんにしたいくらい好きさ」
ぐっと総に詰め寄る神威。
あまりの顔の近さに総はまた後ろに下がる。
神威は総に近寄ろうと足を踏み出すが
「お?」
と不思議な声を出した。
「おいこらクソ餓鬼。なに総ちゃんにセクハラしてんの?」
なんと神威の後ろに銀時がいたのだ。