短編

□双子少女は悩む
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「お兄ちゃん!」

夜になり、部活から帰ってきた総悟に総は話しかけた。

2人は話せば喧嘩ばかりするため、家にいてもなかなか話さないので
珍しく話しかけてきた総に総悟は驚く。

「なんでィ」

何か企んでるのか、と怪しがりながらも返事をすると
総はにこにことしながら話しを続けた。

「お兄ちゃんの好きな髪型って何?」

「はあ?」

「だから!お兄ちゃんがいいなって思う髪型って何って聞いてるの!」

口調は怒っているように聞こえるものの、
目は何かを期待しているようにキラキラと輝いている。

「何で髪型?」

「えっ!?えーと…、明日の髪型何にしようかなーって思って!!」

焦りながら言う総。

怪しい。
何か隠しているのだろうか。

(あ、そうか)

と、ここで総悟はあることを思い出す。

(そういや、こいつ土方のこと好きなんだよな)

総悟は総が十四郎を好きなことを知っていた。
というか、総を見てれば分かる。
総は隠しているみたいだが。

(なるほどな。土方さんの好きな髪型を知りたいけど
本人には恥ずかしくて言えないから俺に聞きたいというわけだな)

1人で納得する総悟。
総悟に何か言いたげな総の前に手をかざし、待てのポーズをする。

「みなまで言うな。優しいお兄様が(土方の)好きな髪型を教えてやりまさァ」

「本当?」

総悟の言い方にムッときたが、
素直に教えてくれるならありがたい。

「教えて教えて!!」

「待ちなせェ、今考えるから」

自分の好きな髪型を考える必要あるのかな?
総は内心不思議そうに首を傾げながら総悟の答えを待った。

(土方さんの好きな髪型?
知るかァァァ!!教えてやるとか言ったけど知らねぇよ。
でもここで知らないって言うのも恥ずかしいしな…。
そういえば土方さんって昔ポニーテールだったような…)

「ポニーテール…」

「へ?」

心で思っていたことが口に出ていたらしい。
総の口から間抜けな声が聞こえる。

「ポニーテールが(土方は)好きなんでィ」

実際十四郎がポニーテール好きかは知らないが
面倒くさくなった総悟は適当にそう言った。

「へー、意外」

総は目を丸くしている。

「そうかィ?結構好きだと思うけど」

「うーん…、まぁ、いいや。ありがと!!」

それだけ言って総は、
階段をのぼって部屋へと戻った。
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