短編

□双子少女は悩む
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午前の授業が終わり、今は昼休み。

総とトシ子はいつも昼休みは一緒に過ごしていた。

今日も2人は屋上でのんびりと他愛のない話しをしながらお昼ご飯を食べていた。

「もぉー、なんでトシちゃんはお兄ちゃんのことが好きなの!?
トシちゃん可愛いし性格もいいんだから
もっといい男がいると思うんだけどなー」

購買部で売っていたパンをかじりながら総は言う。

「私は総悟君でいいの。可愛いし、見てるだけで癒される」

そう言うトシ子の顔は紛れもない恋する乙女の顔だ。
それを見て総は
本気で好きなんだなー、と思う。

トシ子は何を隠そう総悟のことが好きだった。
自分に甘えてくるときのあの笑顔に心を射たれたのだ。

「でもトシちゃんがお兄ちゃんのこと好きだなんて
初めて聞いた日は驚いたよ。
トシちゃんが好きなら大丈夫だと思ってたけどやっぱり心配!!」

「心配なんかしなくても私は大丈夫。
総ちゃんは十四郎とはどうなの?
私はそっちの方が心配」

トシ子の言葉に総は眉を寄せる。

「あたしも十四郎には結構アピールしてるつもりなんだけどなぁ。
十四郎って絶対あたしのこと妹みたいな感じだと思ってるでしょ!?」

膝に顔を埋める総。
トシ子は総の頭を撫でる。

「あ、そうだ!トシちゃん、十四郎の好みの髪型聞いてきてよ!!」

「え?」

「十四郎の好みの髪型にすれば、少しくらい、1人の女として見てくれるかな?」

「なるほど。分かった。
十四郎に聞いてみるね」

「うん!あたしもお兄ちゃんに好みの髪型聞いてみるから!!」

総が最後のパンの一切れを口に運ぶと、
丁度よくチャイムが鳴った。
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