生徒会!【戦国BASARA】

□やっぱり異世界でした
1ページ/1ページ

初日の会議が終わり学校からの帰り道。

こっちに家がある慶次と一緒に家路についていた。
[関ヶ原の他のメンバーは贅沢にも旅館に泊まるらしい。]

「まさかあんたと会うなんて思わなかったよ、慶次。」

「俺は知ってたけどな。」

石川の学校と姉妹校になり、3日ほど帰るからと連絡した時に私の学校だと教えられたという。

「生徒会長になったのは覚えてたんだけどさ。
まつ姉ちゃんがすげぇ喜んでたから。」

「なら、来る前に教えろっての。」

「それじゃあ面白くないだろ?」

慶次とは幼稚園からの幼なじみで、中学卒業までずっと一緒だった。

不良と言うわけでもないのに、喧嘩と聞けば自ら参加し、
女と見ればすぐに口説き、なんとも手に負えない奴だった。

ただ、仲間思いで賑やかな性格なので人気は高く、今回生徒会にいるのもなんとなく理解できた。

「でもさー、あんたの学校、ホント変な奴ばっかだね。
特に蒼いのと紅いの。」

怒涛の1日を振り返っても苦笑いしか出てこない。

「んー。俺と佐助以外の奴らは自分の国、背負ってるからかな。
一般人とはやっぱり価値観違うよな。」
「それ!」
「ん?」

「伊達くんが佐助くんに『主のお守り』とか言ってて。
主ってナニ?って思ってたんだ。
自分の国ってどういうコト?」

引っ掛かっていたモヤモヤが解消されるかも、という期待で慶次を見る。

「あ──。」
頭をガリガリと掻いて、
理解できるか知んねーぞ、と説明してくれた。


今現在、日本の都道府県の他に、実は戦国時代に分けられていた領地が今尚存在する。

表向きは総理大臣が国政を担い、県知事・市長とがそれぞれの自治体の行政に携わっている。

だが、その裏で実権を握っているのは、戦国大名の子孫たちだというのだ。

彼らは自らの国を治め、他国を牽制し合い、隙あらば領地拡大を狙っている。

今では、戦こそないが国力[産業・観光など]により、
その時々でパワーバランスが変わる為、自国アピールに余念がない。

最近のご当地モノ・ゆるキャラブームがそのいい例だ。

そしてその国主や側近が集まるのが関ヶ原高校という訳だ。


「そんなの、聞いたことないよ。」

「まぁ一般人には関係ない話だしな。
聞いたところで信じないだろうし。」

確かに私もまだ信じた訳ではない。

が、今日出会った異常に個性の強い面々や、国・主など、出てくるフレーズは、
それを真実だと言っている気もする。

教師である片倉先生に至っては、伊達くんのことを『政宗様』と呼んでいた。

「あぁ。片倉先生は政宗の側近中の側近。
竜の右目って言われるくらいのな。」

──右目。
あの眼帯はファッションではなかったのか…。

「あの…じゃあ、佐助くんは?
他のみんなとちょっと感じが違うけど…。」

「佐助は真田忍隊の長で、真田とは主従関係だよ。」

「…忍、隊?…って忍者なの?!」

私が心を読まれていたのもなんとなく納得してしまった。

「で、慶次は?普通の人だよね?」

「──お前石川に住んでて、この話聞いて、俺が『前田』で、
何も気付かない、なんてないよな?」

「!!!まさか!ホントにあの『前田家』の前田なの?!」

「まぁ俺の場合『滝川』の出だし、利家叔父さんがいるからなーんの関係もないんだけどさ。」

…あの温厚で握り飯が好きなただのおじさんだと思ってた人が国主だったなんて…。

あまりの衝撃話の連続に開いた口が塞がらない。

「でもよ。難しく考えることなんてないさ。
今の俺らはただの高校生、だろ?」

昔と変わらない笑顔を向ける慶次に、少し気持ちが軽くなった気がした。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ