紡ぐ湖
□共に光へ
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俺はいつからここにいるんだろう。
暗くて、重くて……そして、寒い。
感覚も無く、どこが地面で、どこを向いているのかもわからない暗闇の中。
遥か先、微かに揺らめく灯火のような光を見た。
すがるように手を伸ばすと、淡い光は徐々に遠く、小さくなって消えてしまいそうになる。
……待って。
待ってくれ――。
消えてしまう……そう思った瞬間、突然に光が弾けて視界が開けた。
目の前には、あの光景が。
あの……忘れたくても忘れられない、幼い頃の鮮烈な記憶。
――離れていく。
離れていく。
おっとぅとおっかぁの背中が、遠くへ……。
追いかけたいのに、動けない。
足が、前に進まない。
……待って。
捨てないで――!
泣いても、叫んでも、手を伸ばしても届かなくて。
二つの影は、どんどん遠くへ。
振り向きもせず、逃げるようにそのまま――。
どうして、行ってしまうの?
どうしてぼくは、ここにいるの?
嫌だ。
嫌だ――……!
ぼくを。
……俺を……独りにしないで――……。