オリジナル
□始動!騎士裁判会!
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さて、時は流れ流れ、現代2012年 東京都。
ここには各企業の本店が密集し、道を歩く人の数は減ることを知らず、そして治安の悪さも、金の出入りも、縁も、生活も長く安定を知らない日本の首都である。
さて、国会議事堂前を右に曲がり、少し歩いていくと、門に囲まれ、二人の鎧を着た門番が立っている巨大な建物がある。
それこそが、国家公務員第三セクターと言われる騎士裁判会、ナイト裁判会の東京都本部である。
赤煉瓦づくりのどっしりとした建物は見るに近づきがたい雰囲気を醸し出しているが、この中にいる鎧を着た裁判官たちが、今の日本を支えるために戦っているとはすでに世に知られていることである。
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「はくしっ!」
季節はずれの大くしゃみをした。
春の陽気が心地よく、近くの高校でも新学期が始まったばかりだというこの季節。
執務室に籠もりっぱなしの生活で花粉症になる暇などないが、埃でも面頬の中に侵入したのだろう。
私は新聞を畳んで椅子から立ち上がり、伸びをした。
窓ガラスに映る青空が眩しい。
どこからか洗濯機の洗濯終了の電子音が聞こえてきた。
「…洗濯物でも干しに行くか。」
手に持った新聞を無造作に放り投げて、私は執務室を出た。