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□重石と神社と願い事
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電話の数分後、アマゾメは急勾配の坂道を鎧を鳴らして登ってきた。

「おーい、こっちこっち」

アザムは手を挙げて場所を教える。

アマゾメはアザムに目をやり、アザムの背中に視線を移した。

「……お前、何でそんなの背中に乗せてんだ…」

「え?なんか乗ってる?」

ため息混じりに呆れたように言われた言葉にアザムは首を回して背後を見る。

しかし何も見えない。

陰陽師は自分に関することは見えないようになっているのだ。

「こんなでかい石みたいなのが乗ってる」

手を広げて大きさを教えるアマゾメの言葉にアザムはげんなりする。

「なにそれ…俺なんかしたかな…」

「お前、こんな石くらい持ち上げられるだろ?なんで動けない?」

アマゾメは腰に手を当てて訝しげに聞く。

アマゾメとアザムの身長差は二倍近くある。

そして、体格の違いも二倍近くある。

アザムはがっちりした体格の怪力な裁判員で、初めて彼に会った者は彼が陰陽師だということには気づかない。

対してアマゾメは背は高いがひょろりとしていて吹けば飛びそうな外見だ。一見体力もなにも足りなさそうに見えるが日本一の実力を持つ陰陽師である。

正反対な二人だが、この二人はコンビで働く陰陽師だった。

さて、ここでアマゾメが疑問にしたのは怪力で鳴らしているアザムが何故一抱えぐらいしかない石に苦戦しているのかということである。

「持ち上げようとするとさ〜…足腰立たないって言うか…腰が抜けちゃうんだよね…」

「腰が抜ける?」

「こう…力を入れて、腰を上げようとする瞬間にふにゃっと」

「それぎっくり腰じゃないのか」

「違う違う痛くないし」

アマゾメの問いかけに力なく手を振って否定するアザムに、アマゾメは腕を組んで考え込んだ。
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