TFG1 擬人化
□泣けるのは、あなたの前だけ
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「この毎回怪我して偽の司令官なんだか本物だか区別も付かなくて敵を深追いして返り討ちにされて力任せで美人に気を取られて暑苦しくて頭の回転の遅い無能警備員!お前が何で生きてるのか不思議だよ何でそんな命知らずで生きてんだこの理不尽警備員とっととくたばれ」
思いつく限りの悪口を浴びせてやる。
「アイアンハイドのバカ!」
私の言葉をアイアンハイドは平然として聞いていた。
「それだけか?」
私はアイアンハイドを睨む。
「もっと他にないのか?」
彼は意地悪く笑う。
「聞き慣れたな」
そして私の側へ歩いてきて、抱き寄せてくる。
勝てない。
どうしたって勝てない。
「ラチェット…俺は戦士だ。戦わなきゃならない」
「分かってる」
「それでも、俺はお前のために戦いたい。誰でもなく、お前を守るために」
優しく言い聞かせるアイアンハイドの背中に爪を立てる。
「さんざんお前に心配掛けてすまん。それでも俺はお前を守りたいんだ。それだけだ」
アイアンハイドの肩に顔を埋める。
「バカだ…お前さんはバカだよ…」
「ブタ野郎だろ?」
クックッと笑うアイアンハイドの髪を引っ張る。
それをやんわりほどきながらアイアンハイドが言う。
「泣きたいなら今のうちに泣いておけ。辛いことはいくらでもくるんだ…全部溜めてるのは体に悪い」
「んっ…」
アイアンハイドの肩に顔を押しつけたままで、涙を流す。
弱いんだと思う。
甘えてるんだと思う。
それでも、辛さを分かって欲しいから。
感情を素直に出せるのは。
泣けるのは、あなたの前だけ。