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□始動!騎士裁判会!
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─これは、遠き、平安の時代。
静まり返った大地に、二人の男が立っていた。
しかし,この二人の異様な所はその身に鎧を纏っていることで、お互いの顔が見えない。

黄金色の鎧を纏う男が、茶色の鎧の男に向かって言った。

「博雅…私は、殺しすぎた。妖も…人も…、私の身体は血まみれだ。この鎧を纏う資格などない。」
「晴明…この戦は、平安京を護るためには仕方のない戦だった。お前が気に病むことではない。」

つらそうな晴明に、博雅は慰めるように言った。

「だが…皆死んでしまった…、保憲も…、道満も…、貴次も…、忠輔も…、忠見も…、春信も…、兼盛も…、智徳も…、皆、皆死んでしまった…。誰一人、救えなんだ。私は無力だった…!」

苦しそうに声を絞り出す晴明を博雅はじっと見ていた。

「博雅…、いつか来るだろうか。この忌まわしい戦を断ち切るものが。」
「俺たちの鎧を纏い、全てを終わらせるものがだな。」
「そうだ。強く、気高い意志を持って、この鎧の存在を亡くすものだ。」

晴明は遥か空を見上げていった。

そして、かすかに笑う。

「ならば、この時代に、鎧は要らぬ。」
「ああ。」

博雅も頷いた。

「ならば、散ろうか…、この地の果てに…。」
「ああ。皆の元へ戻ろうか…。」







─こうして、平安の時代の騎士裁判会は終わりを告げた。



しかし、その鎧は受け継がれ、2012年、現在の東京にまで続いている。
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