TFP
□みぃつけた
1ページ/2ページ
足音が近づいてくる。
鼓動が早くなる。
くる、くる、くるくるくるくるくる、
来る。
逃げなくちゃ?でもどこへ。
隠れなくちゃ?息を殺して。
動いてバレてそれでおしまい。
ゲームは終わり、また明日。
ほら、鬼が来るよ?
その小さな怯えも分かってるよ。
さあ、おいで?
捕まえて楽にしてあげるよ。
逃げても無駄だよ。
居場所は分かってるよ。
おいで?こちらへおいで?
鬼はゆっくりその顔を覗き込む。
「みぃつけた」
───────── 幼い日の追憶。
私はふっと目を覚ます。柄にもなく居眠りをしていたようだ。
窓から差し込む夕焼けがオレンジ色の光を私にあびせる。
ふぁ、と一つあくびをして、立ち上がる。
長く寝ていたせいか、のどが渇いた。
冷蔵庫のところまであるいていって取りあえず水を取り出す。
コップに入れた透明な液体を口に含むと少し甘く感じた。
コトリとコップを置いてあたりを見渡す。
ブレークダウンはどこへ行っただろう。
「ブレーク?」
返事はない。
「ブレークダウン?」
しん、とした部屋に私の声だけが反響する。
ふっと、夢を思い出す。
かくれんぼ。
鬼から隠れて見つからなかったら勝ち。
見つかったら負け。
ゲームだ。