TFP

□みぃつけた
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足音が近づいてくる。
鼓動が早くなる。

くる、くる、くるくるくるくるくる、
        来る。

逃げなくちゃ?でもどこへ。
隠れなくちゃ?息を殺して。
動いてバレてそれでおしまい。
ゲームは終わり、また明日。

ほら、鬼が来るよ?
その小さな怯えも分かってるよ。

さあ、おいで?
捕まえて楽にしてあげるよ。

逃げても無駄だよ。
居場所は分かってるよ。

おいで?こちらへおいで?

鬼はゆっくりその顔を覗き込む。

「みぃつけた」


───────── 幼い日の追憶。

私はふっと目を覚ます。柄にもなく居眠りをしていたようだ。
窓から差し込む夕焼けがオレンジ色の光を私にあびせる。


ふぁ、と一つあくびをして、立ち上がる。
長く寝ていたせいか、のどが渇いた。
冷蔵庫のところまであるいていって取りあえず水を取り出す。
コップに入れた透明な液体を口に含むと少し甘く感じた。

コトリとコップを置いてあたりを見渡す。

ブレークダウンはどこへ行っただろう。

「ブレーク?」

返事はない。

「ブレークダウン?」

しん、とした部屋に私の声だけが反響する。

ふっと、夢を思い出す。
かくれんぼ。

鬼から隠れて見つからなかったら勝ち。
見つかったら負け。
ゲームだ。
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