TFP

□解体恋愛
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「で、メガトロン様は直せるのか?」
「私もいろいろな患者を扱ってきましたが、どちらかというと直すより解体の方が専門で。」


そう、それが私なのだ。



― 解体恋愛 ―


「全くひどい怪我だな。」
「そうだろ・・・ううっ、いてて・・・」
 リペアルームに運び込まれたブレークダウンは、あちこちに大きな損傷を抱えていた。
 傷ついたブレークダウンを見る度に、腕がうずうずとリペア工具をふるわせる。
 ああ、ばらばらにしたい。
 君の正体を見てみたい。
「ちょっと腕を出してくれ。」
「ん・・・」
いたそうに顔をしかめて差し出された腕。
ショートを起こしたせいで金属が醜くただれ、じくじくとオイルがしたたる。
わたしはブレークダウンの左肩にドライバーを差し込み、ねじを外した。スパナでボルトを外して、左肩から下を取り外す。
ガコンと鈍い音がする。
「うぁあっ!あっ・・・いてぇえっ!」
「ああごめんよ・・・麻酔を忘れてた。」
「いてぇ・・・」
恨めしそうに私を見上げるブレークダウンに、少し笑いかける。
「ごめんよ。」
「・・・。」
黙ってしまったブレークダウンをそっちのけで私は、取り外したブレークダウンの左肩をみた。

間近で見ると、かなり損傷がひどい。
それでも、その太い腕のパーツは限りなく美しい。

机において、損傷している部分と何ともない箇所に分ける。

「ノックアウト、楽しそうだな。」
「ああ、たのしいよ。」
「・・・。」
ぽつりと言葉をこぼして、ブレークダウンはまた黙る。

「なんだい?」
「ノックアウトは俺より俺のパーツの方が好きか?」

 少しつまらなそうな表情をしてブレークダウンは言った。
 わずかに笑んでしまう。

「私はお前の方が好きだよ。これはお前の一部だからね。だから好きなのさ。でもパーツだけじゃお前じゃない。私が好きなのはブレークダウンだよ。」
 ぱっとブレークダウンが嬉しそうに顔を上げる。
「ほんとかっ!?」
「ああ。本当だよ。」
やった、と嬉しそうにいうブレークダウンに微笑んで、私はそっと手に持ったネジに口づけを落とした。










初、ブレノク小説。
ぬるい、ひたすらぬるい。

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