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□撫でる=眠くなる
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この間、白澤様が女の子の頭をなでなでしているところを目撃してしまった。
その女の子の表情を見ると、とても気持ち良さそうで…………。
いいなあ、なんて思ってみたり。
何故なら、白澤様はあたしの事を撫でてくれないのだ。
十分優しくしてもらっているけれど、人間欲が出てしまう生き物だ。
この気持ちはどうしようもない。
だけど、白澤様に撫でて下さいと言うのも気が引ける。
だからあたしは、白澤様を撫でることにした。
そうすれば白澤様はあたしの事を撫でてくれるはず。

というわけで、「白澤様を撫でよう作戦」開始〜。
その一、白澤様を屈ませよう。
白澤様背が高いので、どんなに頑張っても身長150pのあたしは届かないのである。


『白澤様、しゃがんでくださいっ』
「?いいけど……」


白澤様は膝を抱えて蹲った。
少し顔をあげて、何かするの?と可愛らしく聞かれるものだから……。
少し鼻血がね。ハハ。
それはさておき、あたしは膝で立つと、白澤様の頭に手を伸ばした。
そのままぽんっと柔らかい白澤様の頭にのせて撫でる。


「???どうしたの?」
『気にしないで下さい』
「……??そう?まいっか〜気持ちいいから……」


白澤様は目を閉じると、黙ってあたしに撫でられている。
か、可愛い……。
しばらくなでなでしていると、パッと白澤様が顔を上げた。


「僕も撫でてあげるよ」
『え……』


なでなでなで…………。

白澤様の撫で方は、流石慣れているというかなんというか、優しくって気持ちよかった。
眠気を誘う撫で方だな……と思っていると、だんだん瞼が重くなってきた。
――――眠…………。


『すーすー』


白澤に寄りかかって眠る少女。
その少女を見つめながら白澤は呟いた。


「やっぱりね、僕が撫でると菜桜は寝ると思ったんだ。
色々子供だからね」


ソファに菜桜を寝かせ、頭を撫で続ける。
気持ち良さそうに眠る菜桜を見ていると、自分も眠くなってきた白澤は、菜桜を抱きかかえ、ソファに横になった。



一時間後、桃太郎が帰って来て二人を叩き起こすのは別の話。



撫でる=眠くなる
(せっかく撫でてもらったのに寝ちゃった!!)
(いつでも撫でてあげるよ〜)
(撫でるのはいいですが、二人とも寝て店をほったらかすのはやめてください)
((はーーーい))

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