小説 黒子
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窓から覗くぽっかりと浮かぶ月。
暗闇のはかただそれだけが光っている。
それがとても美しいと思う。
無駄に着飾りなく、純粋にそれだけを。
ただ一つを、それだけ。
嗚呼、まるで…愛しい恋人のプレーのような、
「真太郎…起きてるかい?」
隣で静かに目を閉じている恋人に問いかけても、返事は返ってこなかった。
すやすやと寝息を立て寝ている。
さらり、緑色の髪をすく。
ふわりと僕の手から落ちる髪は何故かとても愛しい。
好きだ。
どうしようもなく好きで。
お互いに深みにハマってしまっている。
ぬかるみに落ちてもう外が見れないぐらい、堕ちてしまっている。
「真太郎、」
そっとくちずけをおとす。
深窓のドルチェ
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