小説 黒子

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手先が、冷たい。
テーピングのまかれた愛しい恋人の手は
とてもひんやりと冷たくなっていた。
「手、冷やしちゃだめじゃない。」
すりすりと、自分の手とこすりあわせる。
真ちゃんは少し目を見開いた後、「やめるのだよっ!」
と手を引っ込めようと力を入れる。
可愛いなぁ、もう。
顔真っ赤にさせてさ、恥ずかしそうに(実際そうなのだろう)
目を逸らす。たまらないね。
すりすり、
こすっていけば段々と温もりが灯る。
「ほら、あったかくなったよ」
自分のポッケに真ちゃんの手を握ったまま手を突っ込む。
とても暖かかったなぁ、
もう、思い出せないのはなんでかな。
「ね、真ちゃん。」
どうしてこすってもこすっても手が冷たいままなの?
ねぇ、どうしたら暖かくなるの?

































僕が忘れてしまった体温
(真ちゃん、冷たい。)

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