小さなお話

□エプロンがーる
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ねぇ、と肩を軽く揺すられて

 

捨てられた子犬みたいな風磨の瞳があたしを射抜く。


 


「僕よりケーキのが大事なの?」


「うん」


 
即答した後に慌てて


 

「今この瞬間はね」


 

なんて付け加えても
 

時すでに遅し。


 


この世で1番甘いのは
(君だって自覚してる?)

 


やってしまった。


いつの間にか部屋の隅っこで膝を抱えるタオ。

 


「タオー?」

 


あまりに背中が寂しげなので


名前を呼んでみるとぴくっと反応する。

 
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