小さなお話

□いつもと違う君に欲情
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ミーンミンミン

 

嫌でも聞こえてくる蝉の大合唱。


今日はそんな蝉の大合唱と

軽やかに流れる囃子の音をBGMに行われる

夏の一大イベント。


 

まだ早かったかな。

携帯の時計を覗けば

待ち合わせ時間20分前。


ま、早いに越したことないだろ。


えーっと何処だっけなー。

 
 

流れる囃子にのって

軽く跳ねながら歩いていると

きゃーきゃー聞こえてきた黄色い声。

嫌な予感しかしない。


  
 

「あーチャニョルじゃーん!」

 
案の定

 
短いスカートをわざとらしく

ふわふわさせながら

近づいてくる集団に

表向きでは笑顔でも心の中で

ぐしゃっと顔をしかめる。

 

「なにー今日ひとりなのー?」

 

香水きっつ。

鼻がひくひくする。



「じゃあさ、うちらと遊ばないー?」


名案じゃーんとか言って

勝手に話を進めている女達にうんざりして

溜め息を吐くために横を向くと。


 

「あ」

 

俺の目に映ったのは男ばっかの人集り。


あそこって待ち合わせ場所じゃないっけ。

 
 
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