小さなお話
□エプロンがーる
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「ゆい。ゆいー!」
すぐ後ろに感じる体温。
タオがべたべたとあたしに纏わりつく。
嫌な訳じゃないけど
今はちょっと。
「邪魔かな、タオ」
「えーなんでー」
不満顔なタオも可愛いなんて思いつつ
あたしの視線の先はある場所。
「だってこの子から目を離す訳にはいかないのよ」
「この子たってそれ」
あたしが見つめる先には
オーブンに入ったホールのケーキ。
取り出すタイミングを
いまかいまかと待ち構える
あたしの心境とは裏腹に
ゆっくりゆっくり膨らんでいくケーキ。