【短編】片羽を探せ
□【まさ大】背中に傷痕
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❁ 情事後いりちゃんと大くん( ´θ`)うへぇ(
囁く言葉も雨に打ち消されて、ふたり憂鬱な時間を過ごした午後。
私の初めてをあなたに奪われて、落ち込む術さえも忘れてる。
だからいつも、ふたりって無理なんだ。
「大ちゃん」
悪魔のような笑みがこちらを見て、ちょいちょいと私を誘う。
向けられた背中にあったのは、紅く痛々しい傷。
「あ、あぁ」
心当たりは確かにある。
絶対、情事のときだ。
「大ちゃんがやったんでしょ?」
私は黙った。
「はぁ」
あきれたかのように、まさこさんはため息をついた。
「ごめんなさい、私」
私は話をはじめた。
「知ってるよ、ちぃちゃんが好きなんでしょ」
ぎし、と鳴るベッドの音に目を逸らした。
「ねぇ」
もう一回、と まさこさんは軽く羽織っていたシャツを床に落とした。
「もっと、付けていいから。 大ちゃんの愛」
そう言い、私の体へのし掛かってきたと思ったら その傷がある背中へと私の手のひらを優しく 重ねるように触らせた。