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□鬼のたわごと
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「ん…………っきゃあああ?!!!」
私を射殺すかのようにじっと直視してくる鬼神はいつものように口を開き、いつものように言葉を吐いた。
「あの…鬼灯様?」
「なんでしょう」
「それはこっちの台詞ですよ。いつまでそこにいるんですか」
そこ、と言うのは私の上。
あろうことか私、桜は自室で寝ているところを鬼灯様に突撃訪問されたあげく、寝ている上に座られている。
私の上に鬼灯様が座ってる状態だ。起きて早々、状況が読めないでいる。
「そうですね、桜が大人しく私に襲われる覚悟があるならいますぐにでも退いてさしあげましょう」
「ありませんよそんな覚悟。仮にその気があっても退く気ないでしょう鬼灯様」
「えぇ」
「そうですか。………それよりも鬼灯様、どうやって私の部屋に侵入したんですか」
寝る際、入り口の鍵はちゃんと閉めたはず。
「簡単な事です。合鍵ですよ」
「そんなものどうやって手に入れたんですか」
「企業秘密です」
人差し指を口にあて、秘密のポーズをとるが生憎全く可愛くない。むしろ怒りを感じる。
「合鍵返してくださいよ」
「そのまえに、桜に伝えたいことがありまして」
「なんですか」
駄目だ。寝起きとか状況が読めないとか鬼灯様がワケわからないとかでイラついてる…。