蒼の死神
□第四幕
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「今日はありがと、アスナさん。」
「うん。こっちこそ。よくあんな食材手に入ったね。」
アスナの家の玄関先で、元の装備に戻したキリトとメアは、アスナに見送られていた。
「また頼む。まぁ、もうあれは手に入らないと思うけど。」
「あら。普通の食材でも腕次第だわ。」
アスナが手を腰にあてながらつい、と上を向いた。
セルムブルグの夜景をぼーっと眺めていたメアはそれに気付かなかったが、次のアスナとキリトの会話で我に帰った。
「この世界、この現状が、あの茅場昌彦の作りたかった物なのかな?」
「さぁな。でもこの世界は、好んで殺したり奪ったりするやつが多すぎる。」
メアはキリトのこの言葉を聞くと、そっと腕を抱いた。
左手で右手の二の腕辺りをポンチョの上から掴む。
私は、関係ない。
あの事なんて、本当に
そんな事を自分に心の中で言い聞かせ、大きく息を吸う。
「じゃ、帰ろうぜ。」
「あ、待てよっ!」
玄関先から飛び出していったキリトをメアは慌てて追う。
キリトの服が黒いため、すぐ見失ってしまいそうだ。
メアは薄く光る、キリトの剣の柄を頼りに、キリトを追いかけた。
さっき掴んでいた右腕の二の腕辺りに巻いている、包帯がポンチョがはだけて見えているのにも気付かずに。