蒼の死神
□第二幕
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「な、なんだと!レアアイテムじゃねぇか!」
「ああ。買い取れるか?」
エギルがトレード欄を見て、声をあげ、キリトが買い取りの確認をとる。
「お前ら、自分で食うなんてこと、考えなかったのか?」
「考えてからのこの台詞なの。だってこんなの調理できるほど、料理スキル上げてるプレイヤーがいるわけじゃないし。」
とメアが言うと、後ろで足音が聞こえ、キリトは肩を叩かれた。
「キリト君。」
そう言った声の主の手を、キリトは掴む。
「シェフ捕獲。」
「な、なによ…。」
その声の主は呆れた顔をキリトに向けた。
彼女はアスナ。
血盟騎士団の服団長だ。
閃光の異名を持つ、ハイレベルプレイヤーで、この世界では三本の指に入るほどの美人。
血盟騎士団の赤と白を基調としたを身に纏っている。
メイン武器は腰に差したレイピア。
アスナはキリトに畏怖の目を向けながら、メアに目を向けた。
メアは自分とアスナがほぼ初対面だと言うことを思いだし、立ち上がって自己紹介を始める。
「どうも。メアといいます。今後よろしくお願い致します。」
「あ、うんよろしくね………ってメアというと………」
アスナはメアの説明を目線だけでキリトに求めた。
メアは、アスナの後ろに立つ二人の血盟騎士団の男性プレイヤーに気がついた。
一人は穏やかな顔でアスナを見守っているが、もう一人は厳しい顔で、アスナが声をかけているキリトを睨んでいる。
「ああ、うん。そのメアだ。」
「ちょっと待って。なんでそんなに団長と同じくらい強いって言われる子がキリト君といるわけ?」
「そ、その辺は成り行きで。っていうか、アスナこそよくこんなごみ溜めに顔を出したな。」
キリトとアスナのそんな話が聞こえ、二人を見ると丁度目に入ったエギルは、凄く怒りの表情をしていた。
その顔に若干恐怖を覚えつつ、視界から遠ざけ、二人を見る。
「もうすぐ今の層の攻略が始まるから、生きてるか確認しに来てあげたんじゃない。」
はぁとため息混じりにアスナが言う。
「でも、フレンド登録してるから見ればわかるじゃん。」
「まぁ、とにかく、なんなの?シェフ捕獲って。」
アスナが呆れ気味にそう言うと、キリトはメアと目をあわせた。
その意味はというと………。
「なぁ、アスナ。参考までに聞きたいんだが、今料理スキルってどの辺?」
キリトがそう聞くと、アスナは胸を張ってこう言った。
「聞いて驚きなさい。先日、完全習得したわ。」
キリトとメアは揃って目を丸くした。
メアも少し完全習得したスキルはあるが、スキルを完全習得するための苦労は身に染みている。
何故なら、スキルの熟練度が1000になれば、完全習得になるのだが、スキルの熟練度は使うたびに少ししか上がらない。
そのため、多大なる労力と時間を要するのだ。
メアも一つ、生活系のスキルを完全習得しているために、そんなにとやかく言えないが、キリトのように戦闘系のスキルばかり上げている攻略組メンバーからしてみれば、アホかと思っていることだろう。