蒼の死神

□第二十幕
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 翌日。

 死神の格好に戻ったメアは、一階の食堂でシリカを待っていた。が。

『………遅い。』

 もう朝の9時を回っている。

 流石に起きているだろう。

 でもそれじゃぁなんで降りてこない?

 メアは立ち上がると、二階への階段を登った。

 そして、シリカの部屋の前に立ち、トントンとドアをノックする。

 反応はなかったが、ドアが小さく開いた。

『お、おはようシリカ。』

 ドアの隙間から顔を覗かしたシリカに声をかける。

「あ、すいません。おはようございます。」

 シリカはそう言うと、扉を開き、メアの姿をまじまじと見た。

「メアさん。なんでそんな格好してるんです?」

『あぁ、これな。今日もしかしたらやらなきゃいけない仕事が出来るかもしれないんでな。』

「あ、えーと、お忙しいのに手伝ってもらってすいません。」

 シリカが恭しく頭を下げる。

 メアは気にしないで、と声をかける。

『さ、ご飯食べて早くいこう。早く君の友達、生き返らせてあげないとな。』

「は、はい!!」

 威勢よく返事をしたシリカを尻目に、メアは階下へ降りた。





 朝ごはんを食べたあと、二人は外に出た。

 主街区の転移門へと足を進める。

「あ、どうしよう。あたし、47層の主街区の名前、知らない。」

 転移門の前でシリカがメアに言う。

『大丈夫。自分が指定する。』

 そう言ってメアが手を差し出すと、シリカはおずおずといった様子で差し出された手を握る。

 そういえば、なんで私、この子助けてるんだろ?

 そんな疑問がふと浮かび上がる。

 ああ、そうか。




 この子は、あっちの世界にいた頃の、私とよくにている。

 好きなモノが無くなって悲しんでいるところとか、特に。

 そう考えると、私って意外と泣き虫なのかもな。



『転移、フローリア』

 メアとシリカを青い光が包む。

 目を開けると、花の咲き乱れる、綺麗な町の中にいた。
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