蒼の死神
□第十三幕
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「………訓練?」
KoBの本部でキリトを待っていたのはそんな言葉であった。
目の前にいる、一昨日ヒースクリフと一緒に部屋の中にいた一人、ゴドフリーは手を腰に当てながら言う。
「そうだ。私を含む、四人のパーティーを組んでもらい、この55層の迷宮区から56層の主街区に到達してもらう。」
「ちょっと待って、ゴドフリー!キリト君は私が………」
アスナがそう言うも、
「副団長であろうお方が、ギルドの規律を蔑ろにしてもらっては困りますな。」
こう言ったゴドフリーの睨むような視線に負け、黙りこくる。
「では、30分後に転移門前に集合。いいな。」
それだけ告げると、ゴドフリーは去っていった。
「あぁ、もう、最悪………」
アスナが頭を抱えながらそう言った。
「ほんとだな。メアとは離れるわ、ギルメンは厳しいわ………」
キリトがそんな風に不評を言うと、アスナは少し困ったような顔をした。
「あ、えっと、どうかしたのか?」
キリトがなんか不味いことでも言ったか………?と首をかしげながら聞くも、アスナは首をふる。
「ま、貴方がいない間にメアを探しておくわ。
せめて、今どんなパーティーと組んでるのかくらい、把握しておかないと。」
「あ、ああ。悪いな。」
「別にキリト君が謝ることじゃないわ。
じゃ、私行くから。」
そう言うとアスナもキリトの目の前から姿を消した。
キリトはアスナの妙な態度に首をかしげつつ、時間が余っているため、もう転移門へ行くことにした。
「それはそうと、兄貴。」
メアは兄貴と呼んでいる人物に声をかける。
「なんだ?」
「もう仕事引き受けたりしてないのか?」
その言葉にニヤッと笑うと、その人は言う。
「受けている。が、まぁあいつらがいないからな。」
「若干行き詰まってるってか?
ハッ………兄貴が一番やる癖に。」
メアがあきれぎみにそう言うと、目の前の人は驚いたように声を出す。
「Wow………死神と呼ばれたお前も、随分丸くなった様だな。」
「五月蝿い。」
メアは舌を出してそっぽを向く。
そしてメニューを開くと、アスナがこの層に来ていることに気づく。
あぁ、邪魔だな。
もうちょっとゆっくりしたかったのだけど。
でも、ここにアスナを呼ぶのは非常によろしくないな。
メアは立ち上がると、椅子に座って自分の短剣の手入れをしている兄貴に告げる。
「邪魔が来そうだからそろそろ行くよ。
そのうちまた来る。」
ドアを押し開け、メアは外の空気を吸い込むと、メニューを開いて装備を変えた。
装備を変えると、転移結晶を握りしめた。
「転移―――」