蒼の死神
□第十一幕
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翌日。
天気はウザったいほどの快晴だった。
そして75層の状況はというと。
「メア。帰ろう。」
「意気地無しめ。」
軽くキリトをあしらうと、キリトは涙目になった。
「だって………こんなに人が来るなんて、誰もいってなかったじゃないかっ!!」
「あ、はは。多分ダイゼンさんの仕業ね。
あの人の仕事っぷりはスゴいから。」
そう言ったアスナがダイゼンさーん! と手を降ると、これまた血盟騎士団の制服がこんなに似合わない人はいないだろうと思わせるような男の人が、贅肉のある腹を揺らしながらこちらに来た。
「あーおーきにおーきに。キリトはんのお陰でええ商売させてもろてますぅ。」
その人はキリトに頭を下げながら、笑顔でそう言った。
「これってギャラ貰えるのか………?」
キリトがうんざりしながら言ったその言葉は、周りの喧騒に紛れて消えていった。
「さてさて、キリトはん。準備室に行ってもろてええですか?」
そう言ったダイゼンさんに押され、キリトはデュエルをする会場の裏へ連れていかれた。
残されたメアとアスナは顔を見合わせ、デュエル会場の観客席に向かう。
そこには知った顔もいた。
その最前列の席でエギルとクラインが殺せー、やら何やら物騒なことを叫んでいる。
その二人の横では、すっかりその二人に元気を吸いとられたように座るヒビキがいた。
「よ。隣、いい?」
メアはヒビキにそう聞くと、その隣に腰かける。その横にはアスナも座った。
「メア………。
この二人を黙らせてくれないか?」
そう聞いたヒビキは、またメアの記憶の誰かと一致した。
メアもそれが誰なのか分からないので気にする風もなく、ヒビキに答える。
「私には無理かな?」
そういうと、もう限界、という風にヒビキが項垂れる。
確かに可哀想だった。
元気出せ、とその背中を叩くと、キリトとヒースクリフの姿がデュエル会場に現れた。
何かを話しているようだが、隣のとなりに座るクラインたちのせいで、何を話しているのか、全く分からなかった。