蒼の死神
□第六幕
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迷宮区に入って一時間が経過しようとしていた。
メアは相変わらずチームワークのない鎌捌きで、モンスターを順調に倒し続けている。
そしてたまに。
「アスナさん。スイッチ行きます。」
「あ、うん!」
スイッチという交代しながら戦うという戦法を、いきなり叫ぶのであった。
アスナの剣先がモンスターのクリティカルポイントを抉り、HPバーを吹き飛ばす。
すると、キリトが呆れたように、頭に手をおいた。
「メア、ほんとチームワーク無いな。」
「そのお陰で攻略組に数えられてないからな。」
「胸張って言う様なことじゃないぞ。」
胸を張るメアにしれーっとした目をキリトは向ける。
メアはそれを黙殺すると、前に進みながら、策敵スキルを発動させる。
と。
「しっ」
キリトと同時にアスナを近くの木陰に引き込む。
「え、え?」
戸惑うアスナの口に人差し指を当てて黙らせると、メアは口早に状況説明をする。
「策敵スキルの範囲内にプレイヤーの反応がある。グリーンだから、犯罪者なんかじゃないと思うけど。」
「12個。きれいに整列してるな。」
そうキリトが小声で言うと、アスナがはっと目を見開いた。
「まさか………でも噂だし………」
「なんかあったのか?」
「確認したいから、ちょっと隠れていい?」
「あ、ああ。いいけど。」
メアは、「隠れるなら。」とメニューを開いて黒い布を取り出すと、アスナに渡した。
「その服じゃ、目立つ。」
そう言いながら自分の分もだしてポンチョの上から被ると、木陰から外を眺めた。