蒼の死神
□第五幕
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そして、翌日。
眠そうなキリトと73層の転移門の前で出会ったメアは、近くの壁にもたれ掛かってアスナを待っていた。
時刻は、というと。
「遅い。」
いらただし気にメアが呟くように、もう、約束の9時を15分程過ぎていた。
メニューウィンドウを開いてアイテム欄やら装備欄やらを眺めているだけで時間が刻々と過ぎている。
キリトもそんな感じだ。
せめて携帯ゲーム機があればなぁ、とでも思っているのだろう。
この世界がすでにゲームだというのに。
とまぁ、そんな感じに時間が過ぎていっている頃。
「どいてどいてぇっ!」
いきなり転移門から飛び出してきた影があった。
その影はキリトめがけて飛んでいく。
「よけろよ。」
「うへっ」
キリトのコートの襟を掴んで無理矢理避けさせると、人影はさっきまでキリトがいた壁にぶつかった。
その白と赤の人影は立ち上がると、キリトの背の後ろに隠れた。
「あ、えっと、おはよう、アスナさん。」
「お、おはようアスナ。」
いまいち状況が読み込めていない黒と青の二人は、アスナに声をかける。
と、そのとき。
「アスナ様。勝手な行動をされては困ります。」
転移門から出てきた人影が、アスナに声をかけた。
「クラディールっ!なんであんたは朝から人の家の前で張り込んでるのよっ!」
アスナがその人影―――クラディールに声をかけると、クラディールはふふんと鼻を鳴らした。
「こんなこともあろうかと、先日よりセルムブルグの監視任務に就いておりました。それには勿論、御自宅の監視も。」
「ふ、含まれないわよバカっ!!」
アスナが吠える。
すると、クラディールはアスナによって来て、その手を掴んだ。
「そう聞き分けのないことをおっしゃらないでください。さぁ、本部にいきますよ。」
クラディールがそう言うと、キリトがその手を掴む。
「悪いな。あんたのとこの副団長様は今日、俺の貸し切りなんだ。すまないが、本部にはお前一人でいってくれ。」
「俺の、じゃなくて、私達のだ。」
キリトの頭を殴りながらそう言うと、メアはクラディールを正面から見た。
20代前半だろうと思われるその男は、顔を憎々しげに歪めた。
「き、貴様らぁ………」