蒼の死神
□第二幕
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第50層、主街区、アルゲードにて。
メアとキリトは、少なからずとも、主街区を歩く人々の注目を集めていた。
そりゃ、そうだろう。
メアは、噂の上ではアインクラッド最強プレイヤー。
見ただけでも、装備をほぼ青で統一しており、鎌を背中に背負って歩く少女など、そうはいまい。
それに、鎌はユニークスキルという、一つしか存在しないといわれるスキルだ。そのため、外見だけで誰なのかがわかってしまう。
一方、キリトはというと、攻略組と呼ばれるアインクラッドの最前線で戦うプレイヤー―――もちろんメアもこの中の一人だ―――の中で、きっての不良プレイヤー。こう言うとキリトはあまりいい顔をしないが、本人も認めている事なので記述させていただこう。
漆黒のコートに黒いブーツ、黒の髪に黒い瞳。
そんな感じに全身黒のプレイヤーも、そうはいない。
そんな二人は、アルゲードの中央にある転移門から少し離れた、雑貨屋に向かう。
「よし、決まりだ!ドラゴンクエイプの皮、20枚で200コル!兄ちゃん、また来てくれよっ!!」
アルゲードのある一つの通りの建物の前。
中から威勢のいい声が聞こえてきたかと思うと、その建物の扉が開き、肩を落とした若い男性プレイヤーが出てきた。
キリトとメアは、その人に道を開け、間を通っていくと、その建物の中に入った。
「お? キリトに、メアじゃないか。この組み合わせで来るのは初めてだな。」
二人に声を掛けたのは、肌の黒い巨漢。
名をエギルといい、雑貨屋を経営している。
「ああ。」
キリトはそう言うと、店の中にある椅子に腰かけた。
メアも慣れた動作でキリトの隣の椅子に腰かける。
「で、二人揃って何の用だ?」
「さっきの人、えらく肩落としていったから、自信ないんだけど。」
メアが苦笑いしながらエギルに告げる。
「安く仕入れて安く売るのがうちのモットーなんでな。」
「ああ、エギル。今回のは安くは仕入れられないかもな。」
「それは見せてもらってから検討するさ。」
「だ、そうだ。メア、はやく見せてやれ。」
キリトに急かされ、メアは人差し指と中指を揃えて立て、降り下ろし、メニューを表示させた。
そして、アイテム欄から先程のラグーラビットの肉をトレード欄に表示させ、エギルに見せた。