蒼の死神

□第一幕
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「はぁっ!」

 とある森の一角。

 黒服の少年が、短く気合いを入れて剣を降った。

 その剣先すこし光ると、少年の目の前にいる巨大なカエル型モンスターの肌を5連続で鋭く抉る。
 そのモンスターの近くに表示されたバーの緑色の部分消え、そのモンスターは青い光を撒き散らしながら消え去った。

 その少年は、そのモンスターが消えたのを確認すると、目を隣に向けた。

 すると。

「えいしょっと。」

 先ほどの少年の声と比べても―――いや、比べるまでもなく、緊張感の欠片もない声が少年の耳に入った。

 少年の目に入ったのは、にこやかに少年が倒したモンスターと同じものを3匹ほど一気に一掃する少女。

 その少女は、あらかさまにでもないが美形な顔を恐怖で崩す事もなく、握った青い鎌を光らせ、カエル達に当たるように振り回す。

 その攻撃でそのカエル達についていたバーは、少年の時よりも分かりやすく、一瞬にしてほぼ満タンの状態から消え去った。
 そのカエルたちが先ほどと同じように青く光りながら消えると、少年は少女に声をかける。


「メア。もっと緊張感持ってやってくれないか?
 お前、分かってるよなぁ?この世界でHPが消えたら―――」

「はいはい、分かってるよキリト。現実世界でも死ぬんでしょ?
 何回も聞いてるから分かってるって。」


 メアと呼ばれた少女は、キリトという少年の言葉が終わる前に声を重ねる。

 キリトがどうだか…とため息をつくのを横目に、メアは森の奥へと足を進めた。

「待てよっ!」

 そう言いながら、キリトはメアを追いかける。

「あのなぁ。俺、無理矢理お前にパーティーメンバー組まされてる訳だが」

「うん。知ってるよ?」

「なんでこの世界で最強とされる、お前と組まないといけないんだ?」

「あー、ということは何?キリトは他の人と組みたいわけ?
 例えば………血盟騎士団副団長様とか。」

「アスナは関係ないだろっ!
 ともかく、まだ弱いプレイヤーなら経験値稼ぎって訳で誘うのならわかるが。」

 キリトはアスナという女性プレイヤーの名前を出されると、少し顔を赤くした。
 それを補うように、御託を並べる。
 すると、顎に手を当てながらメアは頭から返答を捻り出した。

「んー………。なんとなく?」

「そのなんとなくに付き合わされている俺はすごく呆気にとられてるわけだが。」

「だって、基本パーティー活動している私が、珍しくパーティー組んでなかったんだよ?
 それで周り見たらキリトがいたって訳で。」

「メンバー決めるの適当だな。つーか、お前の実力だったらソロでも生きていけるんじゃないか?」

 メアの言葉にキリトが返す。
 メアはんー、と唸ると、次の言葉をいった。

「ソロだったら危ないじゃん。だってこんな森のなかをか弱い女の子が一人で出歩くんですよ?
 いつ襲われるか分かんないじゃないですか。」

「いや、お前はか弱くないから。」

 キリトが呆れたようにそういうと、メアはぷくっと頬を膨らませた。

 キリトがげっ…と退くなか、メアは、腰に装備している、銀色の光沢が特徴的なピックを手に掴んで取り外し、キリトの方を向いて投げるモーションを起こした。

 キリトが後ずさると、メアの手が淡く発光し、手に捕まれたピックがキリトの首筋狙って飛んでいく。

 が、それはキリトには当たらず、キリトの首の真横を通り抜けると、森の奥へと飛んでいった。

 少し遅れて小さな小動物の鳴き声が聞こえ、キリトがメアを見ると、彼女の前には、白いウィンドウが表示されていた。

「あ、え、えーと?」

 キリトがたじろき気味に声を出すと、メアはガッツポーズを取りながらそのウィンドウをキリトに見せる。

 そこに表示されていたのは―――
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