復活

□拍手文。愛故に
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「愛しい恋人兼、リボーンてか…?」

品の良さそうな音を立てながら扉に背を預けながらニヒルな笑みを見せている青年、リボーン。

彼も、黒いスーツに身を包み、黒いボルサリーノをかぶっている。
所謂全身黒ずくめと言うやつだ。
すらっと伸びている長い足に無駄に筋肉がついていないが何故か力などは驚くほどつおている。
呪いが溶けた今、背も青年よりもでかくなり格好よさに拍車をかけていた。
それに対して少し羨ましく思いながらも、ここはボスっぽく、10年で成長したポーカーフェイスで誤魔化す。

「恋人っていうのは置いといて、どうして…」

ここに、という前に目の前の青年、リボーンに止められる。
青年に近づいて少し責めるように見詰める。
ああ、怒っているのだな。と、誰でもわかるような雰囲気が彼からもれていた。

そう、ここ並盛にくるまでに青年は何も言わず本部から脱走していたのだ。しかも一人で、護衛もつけずに。
仮にも10代目だ。しかもあの名高いあのボンゴレファミリーの。
誰かに後をつけられ暗殺なども考えられるかも知れないのにこんなに危ない賭けに出た己の弟子に怒りを覚える。
何故ならそんな危ない事をしたにも関わらず、こっちがどんなに心配したかも知れないのに弟子はケロッとしているではないか。

そう思うと苛々もしてしまう。
何を呑気にこんなとこで、と。

一応そんな彼の心境を悟ったのか、ごめんねと目で訴えてくる青年に更に苛々もするが、まあ見つかったのだからいいか、と溜め息。
それから青年にキッと向き合う。
青年は吃驚して思わず固まるが自分が悪いことはわかっているのでリボーンを責めたりせずに、ただ、目だけが謝罪していた。
仕方がないんだ、とでも言うように。

リボーンも馬鹿ではない。
故に彼の仕方がない、という事にも共感が得て目を伏せる。
それからきゅっと目を瞑りボルサリーノを深くかぶって表情を見られないようにする。

「…頼むから勝手に消えたりするな。どんだけ心配したと思ってやがる。お前が消えて、心臓が止まったと思ったぞ、このダメツナ…」

祈るような、けして責めるような言い方ではなく、ただ、祈るように青年に言う。
リボーンらしくもない。
青年は思う。
青年の知っているリボーンは、何時でも自信満々で、俺様で、自己中で。
他人の心配なんかするような性格ではないし。
だからこそ、彼がどれだけ本気に心配したかが伝わってきて、余計申し訳なくなった。

「ごめん、リボーン。ほんとに、ごめん…。次から、ちゃんと、言うから…」

申し訳なさからぽつぽつと喋る。
きちんと反省しているのがわかったリボーンは何もいないが言わない代わりに青年の頭をぽんぽんと撫でる。
壊れ物を触るように、それはもう優しく撫でる。

自分よりも大きくて暖かくて優しく撫でられて、青年は思わずへへ…と微笑みながら受け入れる。
その笑顔はもう青年というよりかは少年を通り越して性別も通り越して少女のようだった。
リボーンも思わずキュンとくる。
コホンと誤魔化しながら目を反らす。彼の天然には困ったものだ。

「お前は、笑っている方が可愛いぞ」

真剣にだけれども、優しく軽く微笑むリボーンに顔が熱くなるのがわかる。
まるで愛しくて愛しくて堪らないと言っているようで、しかも可愛いと言っているのに愛していると言われてるよう錯覚に陥る。
誰が見ても美形なリボーン。呪いが解けて露になった本当の顔。
同性が見ても惚れてしまうくらいに格好いいのだ、それが、やっぱり悔しくもなる。

じっと見惚れている青年に気付いたリボーンは面白そうに人の悪い笑みで何かを思い付いたように机に片手をついて青年の顔を覗き込むように近づける。
それに少しばかり遅れて逃げようと後ろに後ずさるが後ろの机にぶつかり行くてを阻まれた。
そしてゆっくりと青年の耳元で態とらしく囁く。

「…なんだ見惚れやがって。なんならここで犯してやろうか…?」

低く色っぽい声で囁けばぼっと音が聞こえるように蛸よりも顔を真っ赤に染めて困ったようにリボーンを上目に見つめた。
勿論片想いしている相手にそんな事をされれば理性が保てるわけではなく。

「っ、バカツナ…」

たった一瞬なのにまるでスローモーションのような不思議な感覚に陥る。
リボーンの整った顔が近くなるのがわかる。
男同士なのに、いけないとわかっているのに動けないのは…

(リボーンの、魔法にかかっちゃった…)

「ん…」

唇と唇が軽く触れる程度のキス。
一瞬もないくらいの一瞬。
そんなキス。

「なんだ…ソノ顔は…。誘ってんのか?」

ちゅ、と額にも軽いキス。
何があっても軽いキス。
それ以上もそれ以下もなくて。
それが、青年の、沢田綱吉が許した掟。
"ボスには軽いキスのみ、それも恋愛ではいしてはけない。
挨拶でのみだ。"
ボンゴレが決めた掟。
皆が皆、それ以上を望むものが多かった。
スキンシップだと思っているが、それではいけないと、綱吉は思ったからである。
自分なんかに縛られないで、自分はボンゴレのボスだから、そういうのはしてはいけないんだ、と。
リボーンもそれを甘んじて受け入れている。
まあ、1つ破っているが。

(挨拶でなんて嫌だ。俺は俺の想いを突き通す)
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