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□中学生BA!!
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ー手を繋ぐなんて、何年振りだろう。
幼い頃は、毎日家まで俺を迎えに来たアルに手を引かれて、よく公園へ遊びに行ったものだ。
あの頃は、夢中になって日が暮れるまで遊んで、泥だらけで家に帰って親にこっぴどく叱られて。
ただ純粋にアルと居ると楽しくて。
…いつからだっただろうか。
俺が、アルを「恋愛対象」として見るようになったのは。

「アーサー、着いたよ」
「んっ、ああ」
そんなことを考えている間に、アルの自宅に到着していた。
もう少しこのままでいたかった。なんて思ってない。
「どうぞ。」
アルは先に玄関先まで歩いて行き、ドアを開けてくれた。
今までなら玄関先まで走っていき、鍵を開けると同時にドアを開け、(一応)来客である俺をほったらかしてリビングに直行、だったのに。
「あ、ああ、ありがとう。」
全くいつからそんなに紳士的になったんだ、お前は。

洗面所を借りて手を洗いリビングへ向かうと、そこは意外にも綺麗に片付いていた。
彼の両親は仕事の関係で海外への出張が多いらしく、中3にしてほぼ一人暮らし状態の彼の家はいつもなら、食後の皿やら脱ぎ捨てたパジャマやら、色々な物が散乱しているというのに。
「…お前、これ全部一人で片付けたのか…?」
「うん」
「−っ、どうしてまた急に。」
「…だって、格好悪いだろう。こ、恋人が家に来るっていうのに部屋が汚いなんて。」
アルはうつむいたまま、照れくさそうにそう言った。
いつもなら、片付けなんて普段からちゃんとするもんだろ。そう言っているところだが、
頬を染めてそう言うアルが可愛くて、彼が少しでも自分を意識してくれている事が嬉しくて、そんな小言を言う気には全くなれなかった。
「そっか、ありがとな。」
そう言うと、アルの顔は更に朱に染まっていく。
ああ、この愛しい恋人は、何て可愛いのだろう。
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