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□中学生BA!!
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幼馴染みのアルと俺は、つい先日のアルからの告白で付き合う事になった。
嬉しかった。昔からアルの事は大好きだったが、成長するにつれてそれまでとは違う愛しいという感情が芽生えた。
そんな彼へのこの想いが実る日など、一生来ないと思っていたのだから。
「君の事が好きなんだ」そう告われた途端、何だか急に溢れ出て来た涙が止められなくて、
鳴咽を抑えながら、「おれも、お前がすきだ…っ」
そう告うと、アルはぎゅう、と俺を抱き締めてくれた。
しゃくりを上げて泣く俺の背中を優しくさすりながら、
嬉しそうな声色で「アーサー、ずうっと大好きだぞ」なんて言って。
そんな風に言われたので、余計に涙が止まらなくなってしまう。
アルはそんな俺を、泣き止むまで、ずっと抱き締めていてくれた。

付き合い始めて二週間が経つ今日、アルに「面白いDVDを借りたから一緒に観よう。
…反対意見は認めないぞ!」と、人差し指を立てて言われ、恋人としては初めて彼の家に行くことになった。
…全く。前もって言ってくれれば、手土産にスコーンの一つや二つ焼いて行ったというのに。
どうしてあいつはこういつも、唐突なのだろう。計画性の欠片もあったもんじゃない。
…でも。彼のそんな強引な所も好き…だなんて、当本人には絶対に言えない。
楽しみ、だな…。
弾む気持ちを抑えながら、跳ねっ返りの毛先に指を掛け、軽く髪型を整える。

掃除を終え、昇降口へ向かうとそこにはもう既に、詰まらなそうに携帯の画面を見つめるアルが立っていた。
「遅いじゃないかっ!待ちくたびれたよ…」
「いや、お前が早過ぎるんだよ。」
どうせまた掃除でもサボったんだろ。と言いそうになったが、
また小言か。と嫌な顔をされることが分かり切っていたので、
今日の所は黙っておいてやる。
−この後切角二人きりで過ごせるっていうのに、また普段みたいな下らない口論になって喧嘩別れ、なんてのはまっぴらご免だしな…。

校門を出て暫く歩いた所で、それまでずっと一言も発さなかったアルがやっと口を開いた。
「アーサー、」
「んっ、何だ?」
その後少しの間を置いて、少し照れくさそうに、
「手、繋いでもいい?」
そう聞いてきた。
「は…、へっ?!」
思わず、ぼっと顔から湯気が出る。
「あ…やっ、アーサーがまだムリだっていうんなら、今はいいんだけど!!」
「べっ、別に無理じゃねえよ!…俺はどっちでもいいけど、お前がどうしても、って言うなら仕様がねえから繋いでやってもいいぞ?」
…ああもう全く。どうしていつもこの口からは皮肉や憎まれ口ばかりが突いて出るのだろうか。ただ素直に一言、俺も繋ぎたい、そう言えば良いだけなのに。
「…ん、それじゃ、はい。」
アルはそう言って、自身の左手を差し出してきた。
「…ん。」己の右手を、そっと彼のそれに重ねた。
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