ポケットモンスター

□011
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「ピカチュウ――!!」


朝起きるとピカチュウがいなかった。

こんなこと初めてで、不安で不安で仕方ない。


ブチッ!


ルフィ達に貰ったブレスレットの紐が切れ
た。


「最悪…。」


拾い集めて、箱の中に入れた。

ピカチュウを探さないと。


「ピカチュウ知らない?」


私のポケモン達に聞くと、みんな話し出すけど、よくわからない。


「どうしよう…」


ピカチュウ…あなたがいないだけで不安だよ…。

いつも隣にいて、いつも笑ってて…。

私の傍にいてよ…。

一緒にポケモンマスターになるんでしょ?


「ぅわぁあああん!!ピカチュウ―――!!」


気付いたら泣き叫んでた。

ただあなたの鳴き声が聞きたくて…。

その黄色い姿を見たくて…。


『ピッカ!!』

「え…。」


今…聞こえた気がした…。

私の大好きな…ピカチュウの声。


「ピカチュウ!どこっ!?」

『ピカチュウ!』


ピカチュウの声の方へ、歩き出す。

ピカチュウがいると信じて…。


「ピカチュウ――――――!!!!」

『ピカ―――!!』



眩しい光で辺りが包まれた。

これってもしかして…。

ルフィ達の元へ続く扉?

そこにピカチュウがいるの?

お願い、ピカチュウのところへ連れてって…。


「ぅわっ!!」


目を開けるとそこは海…。

そしてやっぱり…。



「落ちてる――――!!!」



ど、どうしよう。

あ、私にはサンダーがいるじゃない。


「サンダー、君に決めた!!」


サンダーに乗り、サニー号を探す。

ピカチュウ…どこ!?

ルフィ…会いたいよ…。

みんな…。


「見つけた――!!」


サニー号が見える。

旗には麦わら帽子を被った骸骨。

ピカチュウ…ルフィ…みんなに会える。



「みんな―――――!!!」


「え?」

「今、名無しさんの声が…」

「幻聴か?」

「いや、今のは名無しさんだ。」

「ピッカ!」

「上だ!!」

「上を見ろ!!」


スパッ。

船の甲板へ飛び降りた。


「ピッカ―――!!」

「ピカチュウ!会いたかったよ!!」


ピカチュウを抱きしめた。

その黄色い姿、その鳴き声、そして…。

この電気。


「ピ、カチュウ…心配したんだよ?」


涙が出てきた。

ピカチュウに会えた。


「名無しさん、おかえり」

「ナミ、ただいま!」

「おかえり!」

「おかえりなさい!!」

「待ってたぞ!」

「会いたかったわ」

「おかえり――!」

「みんな!ただいま!!」


“仲間”って暖かい。


「名無しさん!!」

「ルフィ――!!」


ルフィに思いっきり抱きついた。

ぎゅ――と、一生離さない勢いで。


「名無しさん、く、苦しい…」

「あ、ごめん!!」


ルフィを離すと、ルフィの顔は真っ赤だった。


「会いたかった…」

「私も…。」

「一生離さねェ…。戻ってきてよかった」

「私、ルフィに会いたくて会いたくて…仕方なかったの。そのためにピカチュウは扉を探してくれたんだよね?」

「ピッカ!!」


ピカチュウは元気よく頷いた。


「好きだ!」

「私も好き!!」


ちゅっ。

そっと触れるだけのキス。

それだけで嬉しい。


「宴だぁ―――――――!!!」


ルフィの叫び声とともに、私はまた涙を流した。





END
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