黒子のバスケ BL

□赤い空をつかむ
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「赤ちーん」

「何?」

「赤ちん、すきー」

「それ何回目だよ、」

「5回目!」

「数えてたのか」

「・・・うん」



時折、信じられなくなるんだ


「赤ちん、俺のこと、嫌い?」

「いや?そんなことないけど」


君のことが




ーーーーーーーーーーーー赤い空をつかむ


溶け出したアイスが、木製の棒を伝って、俺の手を汚す、

べたべたした感触、これが俺の夏


「あー、もう溶けたし!はやく食べないと」

「敦、余計こぼれてるけど」

「うえええ、もうやだー!赤ちん!舐めて!」

「遠慮しておく」

「・・・。」



わかってる

赤ちんは、俺のことなんか、友達としてしか見てないんだって。

嫌いじゃない、すき。

でも、俺のすきと、赤ちんのすきはきっと違うし、俺の「好き」がばれたりなんかしたら、気持ち悪がられるに決まってる。

だから、

あえて俺は


「俺のこと、すき?」

って、聞かないことにしてる。


もし、そう聞いて「すき」って言ったとしても、俺はどっちの好きなのかなんて聞けないし。


ソーダの匂いがして、ふき取ったティッシュをごみ箱へ捨てて


「赤ちん、帰ろう」

「あぁ」


赤い髪、片方違う色の目、あと、小さいけどおっきな背中。

俺のほうが身長は高い。はるかに

けど、

俺には赤ちんのほうがおっきくみえて仕様がない。


「赤ちんはちっちゃいなぁ」

赤ちんは、おっきいなぁ

「うるさい、誰に言ってる」

「赤司様!」

征十郎。

「正解」

「やったー」



夕焼けで、淡く、赤く染まる雲を、つかむように手を伸ばす。


空は、つかめそうなほど近くにあるように見える。

そこにあるのが、あたりまえ。

けど、

実際手を伸ばすと、それはとてつもなく遠いもので、


赤ちんもそうなんじゃないか。

赤い空を見て思った。


これは、赤ちんなんじゃないか



こんなに近くにいるのに、手を伸ばしてもなぜか届かない。つかめない。


「じゃ、僕こっちだから」

「うん、ばいばい赤ちん!」

「ん、」


どんどん小さくなっていく赤ちんを見つめながら、俺は、なんともいえない感情で


空に手を振って、空振った。
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