01/19の日記
13:22
相沢宏人:飛鳥レポート!
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俺、相沢宏人のいる快晴高校の2年A組には、男女問わずとてつもなく魅了してしまう男がいる。
―穂積飛鳥、17歳。
夏の夜空のような艶やかな藍色の髪に、ルビーのような紅の瞳。
日焼けを知らない、真珠のように白くきめ細かい肌に、カモシカのように、すらりとした細く長い足。
程よくついた筋肉は、男として頼りなさげに思わせるわけでもなく、また女のような妖艶さと綺麗さを思わせて。
未成年であるが飲酒・煙草を吸ったりと文字通りの不良ではあるが、売られた喧嘩しか買わず、自ら手を出したりはしない。
口が悪く、少しつつけば悪態を吐くのだが、冗談めかしたことも時たまいい、人付き合いが悪いというわけでもなく、程良いのだ。
まるで、小悪魔のようでありお高くついたしなやかな猫のようでもある。
無意識に妖艶さと美しさを漂わせ、冗談めかしたことを言っては、しなやかな猫のように、ヒラリと舞って忽然と姿を消す。
それなのに照れ屋とくれば、世の中の男女供が、黙ってるはずがない。
文字通りの不良な彼は、あまり学校に顔を出さない。
そんな彼が登校するだけで、周りは息を呑むのだ。
「高嶺の花」といった一種の「恐れ」と、「高嶺の花」を思わせる要因の一つである「美しさ」に。
ただでさえ、色気が満載だというのに、土日明けてから登校してきた彼は、微かに気だるい様子で艶やかな溜め息を吐き、色気を倍増させている。
教室内の空気が一瞬にして、たおやかな美女桜になり、また熱い視線が一斉に彼に向いたのを、唯一当人だけ気づいていない。
そんな彼を見ては、生徒達が「彼女が出来たのではないか」と噂をしている。
あの容姿と性格からか、彼は女遊びが激しいといったイメージが板についているようだが、実際は違う。
女遊びは愚か自慰すらあまりしないらしい。
…どこで情報を仕入れたって?…それは、秘密。
そんな彼が、彼女を作ったとなれば、噂は一斉に蔓延する。
彼にあんな溜め息を吐かす女は、一体どのような女だと。
噂では「肉食系のグラマラスな女」と囁かれている。
しかし、…俺は彼女ではないのではないかと、踏んでいる。
時々腰を痛そうに片腕で支え、あの溜め息を漏らしているのは、挿入されたからではないのだろうか。
ヤる側は寧ろ、情事後血色が良くなったりすると言われ、少なくともマイナスにはならないと言われている。
もし、彼がヤる側ならそうなるはずだ。
けれど、彼は相変わらずぼんやり窓の景色を見ては、あの溜め息を吐き、教室内の空気を美女桜に染めている。
確かめるなら、…この後行われる体育の時間。
因みに、別段俺はそういう意味で彼を好きなわけではない。
ただ、……あれほど人を魅了する彼の真相を知りたい、好奇心が働くだけ。
授業の終わりを告げるチャイムが鳴り、人の波に紛れるように、俺は更衣室―否、とある空き教室へと向かった。
更衣室に行く人の波とは反対の方向に進み、とある空き教室の扉を開ければ、やはり噂の彼がいた。
彼は、人とあまり関わりたくないからか、よくこの教室で更衣しているらしい。
普段からそんなに関わらない俺が入ってきたから、自分の縄張りに入ってきた侵入者を見るように、形のよい眉を潜めて睨んできた。
「っ、…相沢か…ンだよ?」
暗に「出てけ」と言われてる気がするが、ここで引いては意味がない。
俺は「たまには別の場所もいいかなと思って」と、白々しく返したが、彼は少し眉を寄せるだけで、更衣を始めた。
ワイシャツのボタンを外し、脱ごうと手をかけた瞬間、途端に白皙が朱に染まる。
普段とは打って変わった様子に、思わず喉が鳴るも「どうしたの?」と平然と尋ね、彼に近づいた。
「く、来るな!別になんともね…ひぁ…!」
明らかに動揺している彼に声を立てずに笑い、視界に入った赤い痕を指先でなぞった。
フルリと背中を震わせながら、聞いたこともないような甘い声が、上がる。
成る程、やっぱり「彼氏持ち」だ。
行き着いた答えにスッキリした為、やめてもよかったが、もう少し弄りたくなった。
「っ、今のはくすぐったからで…!っ…!?相、沢……?」
そんな俺に取り繕うように、彼は真っ赤にしながら言う。
そんな彼の腰を抱き、グッと顔を近づけた。
あぁ、やっぱり綺麗な顔してる。
好意を抱いてる奴が今こうしていたら、このまま彼は美味しく頂かれるかもしれないんだよな。
なんだか可笑しくなって、もう少し…と思うも、いくつもつけられた所有印に、相当彼氏さんは彼が好きなんだと感じさせられる。
…大変だろうな、彼がこんなに学校の的になってると知ったなら。
ルビーの瞳を見開き、微かに赤らめながら俺を見る彼に、声を立てずに笑って、身を退いた。
ワナワナと震えながら俺を睨む彼に、にんまり、一つ笑ってやる。
「穂積、彼氏さんとお幸せに。それと、……俺だからいいものの、他の奴と二人っきり。ましてや、着替えるなんて真似したら、本気で喰われるって思っとけよ」
んじゃ、と軽く片手をあげながら、部屋を去って扉を閉めた。
扉越しからかは、真っ赤になってるであろう彼の罵声が聞こえる。
―あぁ、楽しい。やっぱり。
人の裏側を調べることも、からかうことも。
学校で今ホットである彼の真相に、俺は口角をあげて、新たなるターゲットを探すのだった。
――☆――
第一弾は、相沢くんの飛鳥レポートですw
相沢くんは大変掴みづらい性格で、愉快犯。
飛鳥をそういう意味で好きというわけではないが、弄り相手として楽しいらしいw
徹さんが恋人とバレるのも時間の問題だろうな、相沢鋭いしww
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