夢置き場

□雨のち空
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久し振りのデートの日。

だけどその日は生憎の雨だ。
俺は憂鬱そうに溜息を漏らしながら傘を取り出した。


「山本…?」

「何だ?ツナ」


何時もみたいに笑いながら問い返した。

だけどツナは頬を少し膨らませながら俺のことをじっと見てきた。


「何で憂鬱そうに溜息付いてるの?
久し振りの制服デートなのにぃ」


と、小さな子供みたいに拗ねながら俺の御凸にデコピンをしてきた。
そんな仕草にキュンときながら、ツナをそっと抱き寄せた。


「馬鹿だな〜、ツナは♪
俺が気にしてるのは、空が見えないからなのな…」

「空…?」

「あぁ、だって空=ツナだろ?
だからツナが見えない気がして嫌だったんだ」


坦々と応える俺にツナはキョトンとした眼をして俺を見上げてきた。

そして暫くしてようやく意味がわかったかのように少しだけ笑った。


「山本の方が馬鹿だよ
だったら俺からしたら最高のデート日和じゃん」


クスクス笑いながらツナは雨粒を取るかのように傘に付いた雫を触った。

その行動に今度は俺がキョトンとしながら見ていると、つなは少し真剣な顔をしながら口を開いた。


「山本にとって俺は空なんでしょ?
だったら俺からしたら山本=雨だもん」


そっか…。
つなからしたらそうなるのな。


「それにね、もう少し経ったら雨止むと思うよ?」

「え?そうなのか?」

「うん、天気予報で言ってたし…
あっ、雨止んできた」


笑顔でそう言いながらツナは上を指した。
俺はそれにつられて上…空を見上げた。

そこにはさっきまでの分厚い雲で覆われていたはずの綺麗な青空が広がっていた…


「やっともう“一人”のツナが見えたな」


俺は小さな声で呟きながら。ツナの方を見て微笑んだ。
それにつられてツナも小さく微笑む。





今日の天気は










―雨のち空―


END

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