戦国の空
□第一夜
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初夏の風邪は心地よい。
里の一番高い杉の木の上にしゃがんで目に望遠鏡を当てた。
里の見張り役の忍だ。
「たっく、交代の時間だってのに、交代の奴来ねぇのかよ」
ぶつぶつぼやきながら空を見上げた。
望遠鏡で見る空は暗闇にいくつもの輝く星が視界いっぱいに広がっていた。
「わりぃ、忘れてた!」
慌てたように交代の奴がやって来た。
さっさと交代して戻りたかったのでポイっと望遠鏡を投げるように渡して別の木に飛び移った。
「あ、あのさ、長が呼んでたぜ」
「……わかった」