夜咲稲荷神社の守り神
「なあ、知ってるか、あの噂」
「夜咲稲荷神社には、化け狐がいる……!! ってやつか?」
「あれ、本当かよ」
「嘘じゃねえって、俺知ってんだよ」
「何が」
「夜咲稲荷神社の化け狐は……1年E組の―――」
東京都奥多摩に位置する夜咲(やさか)地区。奥多摩の中でも、一応は都会に分類される小規模な夜咲地区の象徴的な役割を果たしている夜咲稲荷神社には、古くは江戸より続く長い歴史の中で《化け狐伝説》なるものがあった――。
夜咲稲荷神社の《化け狐伝説》
夜咲稲荷神社には、百年に一度。化け狐が現れる。
綺麗な満月の晩に、神社に預けられた赤ん坊は化け狐の子である……。
そして、その《百年に一度、満月の晩に神社に預けられた赤ん坊》
今度の十五夜の日にはれて16歳となる彼こそが、化け狐として恐れられている。
桜ヶ丘学園1年E組出席番号3番。
忌み子、荻原琥珀。
「……俺が本当に化け狐だったら……どうする…?」
夜咲稲荷神社の守り神
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