短編


□今日は初デート
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『はぁ…』


私は今、鏡の前で30回目くらいの前髪の確認を終えた。


なぜならあと10分程で彼が迎えに来るから…。


服も前々から悩んで決めた服だったけど、いざ着ると可愛くないような気がしてくる。


『お化粧もっとした方がよかったかなぁ…』







今日は初デート







ピンポーン


家のチャイムが鳴った。
こけそうになりながら玄関へ向かうと、お母さんが出ようとするところだった。


「隼人くん、来たみたいよ?」


『あ…あたしがでるよ!』


私はもう一度前髪を整えて、扉を開けた。


ガチャ


『…おはよう。』


「お…おう。」


そう言えば私服の獄寺君初めて見る…。
モノクロに落ち着いた服に、かっこいいアクセサリーがたくさんついていて。日本人離れした顔の彼にはとても似合っていた。


いつもかっこいいけど本当にカッコ良くて直視出来なかった。


『かっ…鞄持って来るね…っ』


緊張する…どうしよう…。


そうして私たちは家を出た。


「どこ行きてえ?」


『どこでも…っ』


突然話しかけられた事に驚いてついそっけない返事をしてしまった。


「じゃあ…映画でも行くか…。」


『はぃ…』


そして映画館へ向かう事になって、私たちは歩き出した。
やっぱり歩幅が違うのか獄寺君はちょっと歩くのが早くて私は一歩遅れて追いかける形になっていた。

ほんとは並んで歩きたいのに。
後ろから指輪がたくさんついた獄寺君の手を見て…。


手…繋ぎたいなぁ…って。


獄寺君はこっちを見てくれない…。


私は恥ずかしいけど思い切って獄寺君の手をぎゅっと握ってみた。


でも


「っ…!」


パシッ


獄寺君は私の手を弾いた。


『え…』


「ぁっ…」


なんで…?私って彼女なんじゃないの?なんで…


「わ…悪りっ…」


『映画…始まっちゃうね…!行こうか…。』


私は先に歩き出してしまった。
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