短編


□ネックレス
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私はヴァリアー学園二年のきょん。


私はモテるの。


可愛い可愛い〜って。


で、可愛いからなんなの?


私を外見以外で見てくれる人なんて


誰もいない。


私が失敗したって誰も責めない。


男なんて所詮はそう…


最低な生き物。


大嫌い。


「あ、きょんちゃんだ!
きょんちゃぁーん」


おーい…って手をふってくる。


私はあなた達なんて全く知らないんですけど。


毎日毎日イライラしてる。


『死ね!ウザい!どっか行け!』


「あはは怒っても可愛い〜」


ふざけんなっ!


その男達は無視して校門を出る。


あーいらいらする!


イライラを石にぶつけて石を蹴りながら歩いていたら…


石に気を取られて前を見ていなかったみたい。


地面に白い線が並んでる。


ここ横断歩道?


信号を見るの忘れた。


信号はもちろん赤。


押ボタン式だもん。




ブオオオオン





横から走ってくるのは大型トラック。


こういう時に限って足がすくんでしまう。


私死ぬ…


ぎゅっと目を閉じた。




ぐいっ




『っ!』



誰かに手を引かれる…


…と


私の真横をトラックが


通り過ぎる。


私の髪の毛は風でフォンッとなびく。


た…助かった…


「死にてぇの?」


『は…』


言われて初めて


助けてくれた人の方を見る。


さらさらな金髪をなびかせて


前髪が長くて目も見えない。


この人…


確かうちの高校で幅を利かせてる。


最強グループのひとり…。


「は…じゃねーし。死にてぇのかって聞いてんの。」


『…っ』


「死にてぇならもっかい車道に突き飛ばしてやるけど?シシッ」


そう言って


にたぁ…っと笑い


私を車道側にグイグイ押してくる。


やっ…やだ!


『しっ…死にたくないです!!!』


私は必死に押し返す。


すると男は私を押すのをやめた。


不思議に思って男の方を見ると、


「…そんなに俺に抱きしめてほしい?」


『えっ…』


気づくと私はその人に


抱きつく体勢になっていた。


『ちっちがっ…!』


すぐに離れようとしたら


また腕をひかれて


引き戻される。


「お前バカ?そっち車道だって言ってんだろ。」


『っ!』


また死ぬとこだった…


ぺちゃんこになる私を想像すると鳥肌がたつ。


『むぃっ…』


車道を睨みつけているとほっぺをぐにっとひっぱられた。


「シシッ!それじゃあーな。」


そう言って私のほっぺを離し、


あいつはどこかに行った。


あ、


しまった。


命を助けてもらっちゃったのに


お礼言うの忘れた。
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