短編


□どこまでも
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私はきょん。




私はヴァリアーのメイドとして働いている。





元々は弱小なマフィア、ミネストローネファミリーというマフィアのボスの娘として育った。





でもある日、ヴァリアーと名乗る暗殺部隊がやってきて、





父と私達のファミリーを殺してしまった。





まだ八歳と幼かったにも関わらず、太陽の素質を持っていた私は




たまたま殺されずに




ルッスーリア姐さんに引き取られ、メイドとしてヴァリアーに身を寄せる事となった。




もう少しで18歳になる私は




メイドの中では一番の古株で、
ヴァリアーではわりと信用されていた。




10年間ヴァリアーに身を寄せている。




ファミリーを殺された事を忘れた訳じゃないけれど、




ヴァリアーのみんなは嫌いじゃない。




特にルッス姐さんは、15の誕生日に秘密でボックスをくれたし、炎の灯し方も教えてくれた。




強いメイドなんてかっこいいわよ〜っ!なんて。




リングは私が元々ひとつ持っていたもの…




姐さんはそれを持っている事も許可してくれた。




私は首から下げて、肌身離さず持っている。





そんなに上等なリングじゃないけど大切なリング…。





父の太陽の守護者で、私の世話係をしてくれていた、じぃ。





じぃは殺される直前まで私を守ろうとし、最期、自分の指輪を私に託した。





でもただひとり、未だに心を開けない相手がいる。





じぃは忙しい父に変わって私の側にいつもいてくれたの。






そんなじぃを私の目の前で殺した張本人。






ヴァリアーのボス





ザンザス様。





彼だけはどうしてもダメなのだ。




悪逆非道で血も涙もない人間。



いや…本当に人間なのか。







だがある日大変な事が起こった。





若いが、一番メイドの仕事が出来る私は





明日からザンザス様の専属メイドになるらしい。





『嘘…』





専属メイドと言う事は寝る時以外はあの人の側にいなければいけないということ。





ルッス姐さんは苦笑いをしながら、





「ごめんなさいねきょん。阻止する理由が見つからなくて〜。」




なんて言っている。





私はもう終わりかもしれない。





そう思った時に





丁度ザンザス様が返り血で汚れたスーツで帰宅してきたのだった。






続く
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