短編


□怖い先輩
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『きょん〜?起きてるの〜?』



『はぁーいっ!』



母に呼ばれ、わりと広いリビングで朝食を済ます。



私は今日からヴァリアー学園に



転入することになった。



父と母が離婚をし、それを機に
お金持ちの祖父の家に身を寄せることになった私と母。



お父さんと離れるのは悲しかったけど、仕方がないし!



割り切って、まずは学校に馴染むことに一生懸命になろうと思っている。



『はぁ…友達できるかなぁ…?』



ヴァリアー学園の可愛らしい制服を見にまとい、私はドキドキしながら家をでた。


鳥のさえずりなんかが聞こえてきて、いい気分になりながら歩いていると、



気を抜いていたのだろう


どんっ!


角から歩いてきた人と思い切りぶつかってしまったのだ



『きゃっ…』



私は反対側に尻もちをつく形で転んでしまった。



「いってぇ〜!どぉこ見てんだよ姉ちゃんよぉ?!」


金髪や赤髪のいかにも柄の悪い三人組が私を怖い顔で見下ろしていた。



『…っ!ごめんなさっ…』



「あれっ?こいつ糞ヴァリアーの制服だぜ?糞ヴァリアーに女なんて珍しいなぁっ!」


「おーマジじゃん!しかも普通に可愛くねっ?遊んでこーよ姉ちゃん!」


『いやっ…私はっ…』


怖くて必死で目を逸らしながら
そういうと男のひとりが無理矢理腕をひっぱってきた。


『っ痛い!離してくださいっ…!』


力が強くて振り払えない。



「ぶつかられたこっちのが痛えんだよ!だまっていう事聞けばいいんだよ!」


いきなり怒鳴られたかと思えば、


ふたりがかりで私を壁に押し付け、体を必要以上に密着させてくる。


『…っやあぁ!』


女ひとり対男三人なんて叶う訳もなく、私の腰当たりに男の手が触れた。その時…



ズガッ



「ぐおっ?!」



バキッ ドカッ



「ぐう…っ!」



男が次々と倒れてく。


開放された私は地面にへたりこんだ。


一瞬何が起こったのか理解出来なかったが、


おそるおそる顔を上げて見ると、



そこには、綺麗な銀の長髪で
とても綺麗な顔立ちの青年が
立っていた。


青年は、灰色の透き通った目でこちらを見ていた。



『ぁ…っ…』



お礼を言いたいけど、色々なことが一気に起こりすぎて



びっくりして声もでなかった。



そうしていると、青年はなにもなかったかのように行ってしまった。


『いっ…ちゃった…』


誰だかはわからないけれど


あれは確かにヴァリアー学園の制服だった。


三人の男を一撃ずつで気絶させるなんてなんて強い人なんだろう。



でも、この気絶している三人組の言っていた


「ヴァリアーに女は珍しい」


ってどういうこと?


私はしばらくぼーっとして


立つ事ができなかった。
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