965

□キス魔による奇襲攻撃
1ページ/1ページ

火神がアレックスにキスされた時、誠凛の皆が騒ぐ中、黒子はただ一人呆然としてしまっていた。

恋人である火神が自分の知らないグラマラスな女性にキスされて何も思わないわけない。
ドロドロした暗い感情が心の奥底に蓄積される。

それ以上見たくなくて誰にもこの感情を知られたくなくて俯いて表情を隠した。
ざわつく中火神の怒鳴る声と女性の楽しそうな声が聞こえる。

「別にいいじゃねぇか…。うおっ!いつの間にいたんだお前!」

アレックスの肘が当たって黒子は顔を上げた。
そこには眼鏡をかけた金髪の女性がこちらを見下ろす。
うーんと考え込んで思い出したようにポンと手を叩いた。

「あ、お前確かタイガの相棒だっけ」
「そうですけど…。な、何ですか」

顔を近づけながら迫って来るアレックスにたじろいで黒子は後ろに下がるしかない。

「へぇ、お前可愛い顔してるな」

トンっと壁に当たってようやく嫌な予感が頭によぎってアレックスの肩を押すが全く効いてないようでどんどん迫って来る。

「ちょっと待っ、んっ!」

言いかけた所で柔らかい唇が押し付けられた。

「んんんー!!?」
「「ええええええ!!??」」

くぐもった黒子の悲鳴と部員達の驚きの声が部屋中に響く中、黒子の口内にアレックスの舌が入り込んで荒らしていく。

「ん、ふっ、ふぁ…」
「ディ、ディープだああぁ!!」

黒子の口から漏れる声と視覚的にエロい映像に叫びながら、頬を赤く染める。

弱々しく肩を押しながら黒子は首を振るが後ろからアレックスに押さえられて全く動かない。

「Stopアレックス!」

強い力で火神がアレックスと黒子を引き離すと黒子を後ろに隠してアレックスを睨む。

黒子はというとしゃがみ込んで軽く口を拭い白い頬を赤く染めていた。

「お前何してんだよ!」

相手は女性だし、掴みかかることはないがしゃがみ込む黒子に大丈夫か?と声をかける。

そして既に固まり切っていた部員達は思い出したように叫び声を上げた。

「黒子の、黒子の(多分)ファーストキスが奪われたああぁ!!」
「わああぁ!黒子がやられたあああ!」
「ファーストキスに奇する…」
「ギャグはいいダアホ!」
「何言ってんだ、ですか?黒子はファーストキスじゃねーですよ?」
「「………え?」」

火神が零した言葉に如何にも硬派そうな黒子が既にファーストキスを終えていたことに驚きが隠せない。

「だって黒子は「火神君ストップ!何口走ろうとしてるんですか!」
「何ってお前とファーストキスしたのは俺「ちょっと黙って下さい!」

アレックスにキスされた時以上に顔を真っ赤に染め上げ火神の腹にパンチを入れた。

「「…………え!?」」
「何だお前ら付き合ってんの?」

満足そうにアレックスが唇を舐めながら問うと火神にパンチを入れた後の黒子が即座に否定しようと口を開いた。

「違いま「そうだけど?」

被せるように答えた火神の言葉に黒子はまた一発パンチを入れるが先程より弱い。

「「ええええぇぇ!!??」」

その日部員達の最大の叫びとアレックスの笑い声が火神宅から響き渡ることになる。


【キス魔による奇襲攻撃】


皆帰った後、アレックスは「悪かったな」と黒子の頭撫でてから気を利かせて部屋に引っ込んだ。

途端に黒子は溜め息をついて火神に抱き付いて火神もそれを受け止める。

「火神君。何でバラしちゃうんですか」
「いいじゃねぇかよ。これで堂々とイチャつける」
「嫉妬…しました。アレックスさんに」
「俺もだよ。いくらアレックスがキス魔だって知っててもな」
「火神君の馬鹿……キスして下さい」
「あぁ消毒、な」
「お師匠様にそれはないと思いますけど」
「いいんだよ。俺以外の奴にそれ、奪わせんなよ」

指で黒子の唇をなぞると噛みつくようにキスをした。


end
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ