965V
□立ち入り禁止区域
2ページ/3ページ
*
夜になっても晴れていた空には、何時もより綺麗に光の橋が空を渡っている…ような気がした。
中学にセキリュティなんて大それたものはない。
閉まっていた校門を飛び越すと、あっさりと校内に侵入成功。
ドキドキしながら学校に来たのにが拍子抜けだ。
多少違うのは夜の学校は雰囲気が不気味なくらいか。
いくら外見が綺麗だからといって、むしろそれが気味が悪い。
アイツどこにいるんだよ。
うっかり待ち合わせ場所を決めるのを忘れて中に入ったが、黄瀬は見当たらない。
俺が一人で怖々と学校を歩いていると、後ろからドンッと衝撃が来た。
「うぎゃああああああ!!!」
「うわ!?青峰っち叫び過ぎッス!」
「おおおお化け!?…ってお前かよ!」
振り返り、ライトで後ろを照らせば、手を伸ばしたまま慌てる黄瀬だった。
…悲鳴を上げてしまったのは不可抗力だと主張したい。
「お前って何スか!
ほら、行くッスよ青峰っち!」
伸ばしていた手を俺の背に当て、黄瀬は押すように進もうとする。
そのせいか、黄瀬のライトは地面を照らしていた。
俺の手元にあるライトは先の地面を照らしている。
思わず口角が上がった。
「黄ー瀬っ」
「は、うわああああああ!!!」
悲鳴を上げて後退りた黄瀬の目の前にいるのは勿論俺。
その俺は単に顔にライトを当て、振り返っただけだ。
「あああ青峰っち怖いじゃないッスか!」
「さっきの仕返しだ仕返し!」
「もう青峰っち何か知らないッスー!」
黄瀬は泣くまねをして先に走り出す。
「あ、待てよ!」
慌てて追いかけると、黄瀬は楽しそうに笑った。
*