965V
□学校内自動販売機
1ページ/1ページ
「あっちーな〜。これ以上暑くなってどうすんだよ…」
階段を下りながら俺はだるそうにしながらぼやく。
夏真っ盛りの8月。
登校日だった今日は仕方なく制服を来て、学校に来た。
部活は午後からで部活が始まる前に飲み物を買っておこうと階段を降りる。
一年生の教室から近い自動販売機は、暑い中わざわざ外に出て買いに行くのが一番近い。
そこには自動販売機が3つ鎮座していて、種類は様々だった。
「何買うかな…。スポドリよりコーラ飲みてぇ」
財布から百円玉を取り出し、コーラを押そうとしたが、横から伸びてきた白い手がスポドリを押した。
「何やってんだよ!俺の金!
って黒子おおぉぉ!!!?」
「はい」
白い手の正体は黒子で、自動販売機から出て来たスポドリを手に取る。
「何しれっとしてるんだよ!」
「僕もスポドリ欲しくなったので」
テへっ☆とでもすれば可愛いものだが、相変わらずの無表情だ。
色々言うのに聞く様子のない黒子は今来たであろう道をスポーツドリンクを持ったまま歩いていく。
黒子は思い出したかのようにこっちを向いて振り向くとスポドリを掲げる。
それからべーっと舌を出して、走りだした。
「待てやコラァ黒子!!」
もう一度百円玉を入れて今度こそコーラを買う。
勢い良く振ると、ギリギリ室内に入りそうになった黒子に向けて栓を抜いた。
「うおりゃああぁぁ!!」
綺麗に放物線を描いて透明な水は黒子に飛んでいく。
太陽の光に反射して水はキラキラと光った。
「っ!」
「あれ、コーラじゃねぇ!?」
飛んでいった水はラベルと見るとサイダーだったようだ。
黒子はギリギリの所で避けると、足を止めた黒子を俺は手を伸ばして捕まえる。
「テメェ何してんだよ…!」
「コーラだとお腹の中でシェイクされてスゴいことになりそうなので」
水色の柔らかい髪ごと握るように頭を掴む。
黒子は無表情のままぷぅと頬を膨らませて、いいじゃないですか、と目で訴えかけてくる。
確かに俺はダンクとかでジャンプするからかなりスゴいことになりそうだけどよ。
飲みたかったんだよコーラ!!
…まぁ言っても無駄か、黒子だし。
開いているサイダーを一口含んでから黒子に言う。
「まぁいいけどよ。奢るくらいなら。でも言えよ」
「はい」
黒子は頷くとスポドリを俺に差し出してきた。
「どうしたんだよ?」
「お返しします。冗談でやっただけですから」
「冗談でやったのかよ!!」
「火神君からかうのは楽しいので」
黒子からスポドリを受け取って、栓を開ける。
…としたらスポドリがもう開いている。
「ってもう飲んだのかよ!」
黒子は俺に背を向けて笑いを必死にこらえている。
仕方なくスポドリを飲むと、甘さのある水が体に染み渡った。
「あ、」
これ、間接キスじゃね?
そう思ったら図らずも顔が赤くなった。
【学校内自動販売機】
end
―――
公式でもやってたのに真っ赤になっちゃうかがみん。