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□金髪狼と紙袋ヒーロー
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※捏造過多



もう、散々だ。


入学早々やたら厳つい先生に髪色について絡まれるし。
ちゃんと願書見とけっつーの。
地毛申請してあるのに言ってくるってどんだけだよ。

周りの大人達は言う。

『どうせ染めたんだろ?』
『そんな言い訳、通用するか』

etc,etc…。
こっちこそ聞き飽きたって。

それに金髪なだけで変に絡まれる。
現に今だって、ほら。

「お前見たトコ中学生だよな?」
「へぇもう金髪ってか。粋がってんな」
「だから何度だって言ってるだろ!!これは地毛だって!!」

目に見てわかるような不良には絡まれるし。
あーマジ最悪。

「面白そーだし、ちょっと痛めつけてやろーぜ」
「…っ!!」



誰も、俺の言うこと何て信じねぇ。

俺は嘘なんかついてない。

全部、ホントのことなのに。



「何で誰も信じねぇんだよ…っ」


そう呟いても誰も信じてくれる筈なんかない。

誰でもいいから、俺を信じてよ。


「いくぜ!」

殴られる!そう思って目をキツく瞑ったが、何時までたっても衝撃が来なかった。
恐る恐る目を開けるとそこには、



「………え」



俺の目の前に立っていたのは、巨人だった。


いや、例えだが尻餅をついていた俺だけが大きく見えていたわけではない、はず。

ソイツは何故か紙袋を被っていた。
……紙袋?

「てめー何すんだよ!!」

さっき俺を殴ろうとした奴は俺と同じように地面に転がっていた。違う所と言ったら頬が赤く腫れている所か。

睨み付けてくる奴らに紙袋を被ったソイツはもう一度手を見せて拳を作ると自分の掌を軽く殴った。
余程の威力だったのかソイツら引きつった顔で逃げて行った。

それを俺が呆然と見送ると、紙袋のソイツは俺の方を見る。

「お前、何なんだよ!!」

ただのキチガイヤローか、正義の味方ぶった変人か、分からずに冷や汗をかいていたが差し出されたのは大きな掌。

宙に浮いていた手を握られ立たされると見間違いではなかったらしい、ソイツは俺より何cmもでかかった。


頭に何かが触れる感触。


頭を撫でられている、とわかった時には手は離れていて、いつの間にか俺はソイツの背中を見送っていた。



…何だったんだ、アイツ。




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