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□小金井的不満要素
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「もー!水戸部何なんだよー!!」
俺が一人で体育館にやってきたら珍しくコガが水戸部に対して怒っていた。
そんなガチで怒っているわけじゃなさそうだが大きな声を出してるから目立つわけで。
水戸部は困ったように眉を下げていた。
普段コガはそんなに怒ったりしない。むしろ怒られることの方が多いくらいだ。
水戸部に至っては怒ったのも見たことない。
その珍しい状況なのに席を外しているのか俺より早く着いてるだろう一年生達がいない。
整備は終わっているから着替えに行ったのだろうか。
つまり体育館には着替え終わったコガと水戸部、そしてまだ荷物を持ったままの俺しかいない。
このまま見てても埒があかないから二人に歩み寄る。
俺を見た水戸部がホッとしたような顔をしていた。
「どうしたんだ、コガ?」
「あ、つっちー!聞いてよ!水戸部ったらわがまま何も言ってくれないんだよ!?」
「我が儘?」
水戸部は大家族の長男だからなのか、よく遠慮がちになる傾向があって困らせたくないのか我が儘何て言わない。
コガはよく水戸部に甘えたりしているけど、何でそういうことになったのだろうか。
「昨日テレビでね、『互いに甘えられないカップルはダメ!』って言ってて、水戸部はそーいうこと何も言ったりしないから…」
言ったり、と言う表現でいいのか無口過ぎる水戸部の言葉はコガにしかはっきりわからない。
いつも水戸部の言葉を聞いているコガが言うんだから本当のことだろう。
…それにしても初耳だな、その話は。
俺にも彼女がいるし、他人事じゃないなと思いつつも荒ぶるコガを止める方が先だと頭を切り換える。
「普段だって水戸部は周りを気遣ってばっかだし、俺が甘えてばっかだし!
それにエッチの時だってオレのこと気にし過ぎるだし、水戸部だってツラいのに優しいんだよ!」
ラブラブなのは何よりだからそんな大きな声で床事情を言わなくても…。
うん。周りに一年生がいなきゃいいけどな。
水戸部はずっとオロオロしていたが、その動きを止めるとコガをじっと見つめた。
コガは水戸部から何かを読み取ったのか次第に頬を赤く染めていく。
「えっ…、水戸部ったら何言ってるんだよ。
あーもうっ水戸部大好きっ!」
叫んだコガは水戸部に抱き付くと頭を水戸部にグリグリしている。
水戸部も嬉しそうな顔をしてコガの頭を撫でていた。
これ、俺間に入る意味なかっただろ。
そんなこんなしている内に一年生達が帰ってきて元気よく挨拶をしてくれる。
うん、まぁあれだな。
今日も平和で何よりってことで。
【小金井的不満要素】
end
―――
水戸部が何を言ったかは謎。
つっちー目線も案外書きやすくてびっくりしてる私がいるwww