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□天才の君に恋をした
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駅へと続く大通りへ出て後残す所は直進のみ。


寄り添ってる空を見上げるカップルは楽しそうに彼女がほら見て雪だよ、と笑う。

“赤司見て雪だよ”

なんて五日前に言ったっけ。
あの頃が懐かしい、だなんて。

たったの一週間なのにこんなにも赤司を好きになってしまった。


駅のホームに入り、人の多い中で俺達は無言で新幹線を待つ。


いつかこんな日が来るってわかってたはずだ。
なのに体が震えてる。寒さ何かじゃない。怖い、何て今更だ。


雑音で掻き消えそうなアナウンスが新幹線の到着を知らせる。
それが今になって最大限に俺を苦しめた。

目の前に新幹線が止まる。
赤司は一歩踏み出した。


伝えたい。
好きだって、伝えたい。
手を見つめる。
この手は空っぽだ。
なぁ、サヨナラってこういうことだろ?


一歩を踏み出したのに赤司は動かない。
それどころか振り返って俺を見た。

「行かなくちゃ、赤司」

声が震える。

赤司の顔を見れなくなって俯く。
もしかしたら赤司の顔を見るのも最後になってしまうかもしれないのに、涙が零れそうで上げられない。


なぁ赤司。
俺はお前が優しいことも知ってる。

だから

「この手、離してよ」


空っぽの手に繋がれたその手は暖かくて、冷たくて。

止めてくれ。手からでも伝わってしまいそうなんだ。

バイバイ、と言えばいいだけなんだ。そうすれば解放されるから。

今だけでいい。誰か俺に勇気を下さい。





「出会えて良かった。
キミが好き」





何で、そんな優しい顔で俺を見るんだよ。

言えなくなってしまう前に。
心に染み渡ってしまう前に。
言わなくちゃ、

「あのさ、」

言いかけた唇はそれ以上言葉を紡ぐことが出来なかった。
俺とお前との距離は0で。


呆然とする俺をよそに赤司は俺の首に巻いていた赤いマフラーを自分の手に納める。
その代わりに赤司が巻いていた長めの白いマフラーが丁寧に巻かれた。
何かの神聖な儀式のようで。


赤司は赤いマフラーを巻くといつもの自信たっぷりの顔で笑う。


「ボクの言うことは絶対、だろう?」


耐えきれずに抱き付いた赤司の腕の中は暖かくて。

伝わる赤司の鼓動は俺と同じように早くなっていた。


【天才の君に恋をした】


俺は自他共に認める平凡だったけど、俺が惹かれたのは天才じゃない等身大の彼だった。


end


―――
image.初めて/の/恋が/終わる/とき
‖ω`)チラッ<続き…書くかも
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