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□天才の君に恋をした
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冷たい冬の風が頬を掠めて、吐いた白い息で両手をこすった。

街はイルミネーションでキラキラしていて街路樹まで彩られている。
魔法をかけたみたいなその風景を赤司と二人で歩く。


ウィンター・カップが終わってから頻繁に赤司は東京に帰って来るようになったと黒子は言った。
良かったな、とは思ったが俺にはあまり縁のない話だと高をくくっていたが、赤司は何故か俺にメールを寄越してきた。
それから恐る恐るながらも赤司に会うようになって。


赤いマフラーが風に揺られる。

昨日、赤司に似合いそうだと思わず買ってしまった。
でも勇気のない俺は渡すこと何か出来なくて。
結局今は俺の首に収まっている。彼の首元には白くて少し長めのマフラーが巻かれていた。

赤司がこっちに居れるのは冬休みの内一週間だけ。
その間毎日のように会った。
そこには年相応の等身大の赤司がいた。ビクついていた俺もいつの間にか絆されていて苦にならなかったのに。
それが三日前までの話。


「光樹?」

何も喋らない俺を変に思ったのか赤司が振り返って俺を見る。
一緒になって白のマフラーも揺れた。


名前を呼ばれるだけで赤司には不思議な力があるんじゃないかってくらい俺の胸を締め付けて。


二日前に気づいてしまったホントの気持ち。

俺は赤司が、好き、だ。

でも赤司は京都に帰ってしまう。
一介の高校生でしかない俺には東京と京都の距離は遠すぎて。
頻繁に会うこと何て出来ない。

赤司にとってこの一週間はただの暇つぶしだったのかもしれない。そう思ったら怖くて。
想い続けるのはツラいな、って。
報われないのに一途に思い続けるのは情けないことに俺にはムリだ。
気持ちは伝えないって、決めていたことだからこれでいいんだ。


「何でもないよ」

冷たい風で強張った頬を上げて笑うと俺はまた歩き出す。


足を止めたら全部全部思い出してしまうから。
絶対泣いたりなんかしないから。


そう思った途端にふわりと舞い降りてくる雪に触れたら溶けて消えた。



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