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□純度120%
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風呂も入り終わり月が真上に居る頃、水戸部の部屋には小金井がクッションを抱き締めてゴロゴロ転がっていた。
別に珍しいことじゃない。
小金井はよく水戸部の家に泊まりに来ていて、水戸部の妹弟達と遊ぶこともしばしば。

今妹弟達はすっかり夢の中で起きているのは水戸部と小金井だけだ。
水戸部のベッドの上で小金井は欠伸を漏らす。

「水戸部、もう寝よー」

それに水戸部は頷いて部屋の電気を消してから小金井の隣に潜り込んだ。

「そう言えばさ水戸部、今日部活ん時さー」

泊まりに来て眠る前、必ずと言っていい程小金井はお喋りを始める。

眠いはずなのに時間が惜しいとばかりに喋り続けるのだ。
水戸部は喋ることはないからそれに頷いたり、微笑んだりする。
それが彼らのお泊まりのスタイルだった。

「伊月がいつもみたいにさっみーギャグ言ってたら日向がツッコんでて、あ、ここまでは普通じゃん?」

小金井は変わらず喋り続けるが水戸部は気が気ではなかった。

普段から小金井が水戸部に抱きついているのはよく見る光景だが、ここは布団の中だ。
しかもいつも自分が使っているベッドの上。

二人は付き合ってないし、男同士だからドキドキすることもない。


だが、水戸部は小金井が好きだ。


学校ではあまり意識しないが、流石に布団の中だと気になりはする。

「日向が伊月をど突いてる後ろから木吉が二人に抱き付いたんだ。そしたら…」

好きな相手が一緒に寝てるのに何も出来ない何て軽く拷問に等しい。しかし水戸部は小金井を大事に思うあまり事を起こせないでいた。
それは告白さえも、だ。

「日向と伊月がチューしちゃった!」
「…………!!?」

突然の言葉に飛んでいた意識を小金井に戻す。

確かに今日の部活は水戸部が日直の関係で遅れて来はしたが、その間に何があったんだ。

「横から抱き付いたもんだから木吉が引き寄せてちゃってそのままチューって!」

どうりであの二人が部活の時目を合わせただけで恥ずかしがっていたわけだ。
水戸部は納得した。

途端、小金井が静かになる。
何事かと腕の中の小金井を見れば寝てはいなかったが眠そうに目をこすっていた。

「ねぇみとべー…。俺さ、今の部活も皆も大好きだよ」
「……?」
「でもね、俺は一番水戸部が好きだよ…」

びっくりして小金井を見れば、瞼を閉じて既に寝ていた。

小金井の声が響いていた部屋が一気に静かになって今は小金井の寝息だけが部屋に聞こえる。

寝てしまった小金井にバレないように小さく溜め息。

小金井からあの言葉が聞けて嬉しくもあったが複雑だった。

それは友愛なのか恋愛なのか、小金井の心は水戸部にはわからない。

どっちなのか考えいたら日が出てしまいそうなのでもう寝よう。

小金井の頭を一撫でして額にキスを落としてから、水戸部も瞼を閉じたのだった。


【純度120%】


end


―――
実はコガ起きてる。そして両片思い。思春期な水戸部を目指してみた!
 

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